パーソナルモビリティーをスマホで手軽に自動運転化

プレスリリースより

ロボットや自動運転車が正しく目的地に移動できるためには、カメラなどの各種センサーや地図情報を駆使して、今自分がどこにいるかを正確に把握しなければなりません。通常それには、専用の装置と高度な計算能力が必要となります。それをごく簡単に、スマートフォンのセンサーだけで行える技術が登場しました。

産業技術総合研究所(産総研)は、カメラと慣性計測という技術を組み合わせたシンプルな位置姿勢測定システム「L-C*」(エルシースター)を開発しました。これまでの方式では、レーザー光線を使うなどして独自の3D環境地図を生成し、カメラの映像と照合して画像が一致する地点から位置を推定していました。カメラが動くごとに地図と照合を行うため1秒間に30回ほど照合する必要があり、大量の画像データを処理しなければなりません。

L-C*は、センサーの運動を推定し途中の照合を省く慣性計測装置(IMU)を使うことで、計算頻度を30分の1まで減らすことに成功しました。1秒間に1回の照合で済むためコンピューターの負担が大幅に減り、小さな組み込みPCでも対応できます。また従来は色に頼っていた画像の照合も、明暗から双方の関連性を推測する方式により、画像の「見えの変化」に強くなり、激しく動いたり回転したりしても対象を見失うことなく、しっかりと照合が継続できるようになりました。それでも誤差は最小で3ミリ、悪条件でも140ミリと高精度です。

L-C*の使い道として産総研が提案しているのが、パーソナルモビリティーをスマートフォンで自動運転化するというものです。搭乗者のスマートフォンを接続すると、レーザー距離計など特別な装置やセンサーを装備していないパーソナルモビリティーもその場で自律化でき、安価に自動運転が可能になるとのことです。また、このシンプルな特徴を活かして、スマートグラスへの応用も目指すとしています。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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