核融合が実用化段階、特許数で見る「世界の核融合バランス」

プレスリリースより

昨年12月に、アメリカのローレンスリバーモア国立研究所が世界で初めて核融合炉の点火を実現させ、投入エネルギーよりも多くのエネルギーを取り出すことに成功したというニュースが話題になりました。やっとここまで来たかという思いですが、はたして今はどの段階にあるのでしょうか。世界最大級の無形資産可視化データベースを保有し技術活用コンサルティングなどを行うアスタミューゼは、世界で研究開発が進められている核融合に関する論文の発表件数と特許出願件数から、実現へ向けた現在の状況を分析しました。

核融合技術関連の論文は、アメリカの発表件数が多く、中国がそれに続いています。以前に比べて日本とアメリカの件数は減少傾向ですが、全体的には横ばい。それに比べて、特許出願件数が増えています。
2011年以降出願特許の帰属国別のトータルパテントアセット

2011年以降出願特許の帰属国別のトータルパテントアセット


それまでアメリカが断トツに多かった特許出願件数は、2011年以降は中国が躍進し、ついにトップに立ちました。トータルパテントアセット(特許の競争力の評価)では、中国が2位のアメリカを大きく引き離しています。ちなみに日本はイギリスに続いて、特許出願件数、トータルパテントアセットとも4位でした。
2011年以降出願特許の出願人(企業・研究機関など)ごとのトータルパテントアセット

2011年以降出願特許の出願人(企業・研究機関など)ごとのトータルパテントアセット


企業と研究機関のトータルパテントアセットを見ると、トップ10のなかにロシアが1団体、日本、アメリカ、イギリスが2団体ずつなのに対して、中国だけが3団体入っていました。ここでも中国の躍進がわかります。
2001年を1とする、核融合に関連する全特許、全論文数の推移(2001年~2021年)

2001年を1とする、核融合に関連する全特許、全論文数の推移(2001年~2021年)


総合的には、論文発表件数の推移がほぼ横ばいなのに対して、特許出願数は2001年の2倍以上に増えています。アスタミューゼは、「研究開発から知財の権利化に移行している、実用化へ向けた段階にある」と推察しています。これは期待できそうです。今後、加速度的に開発が進むことを願いたいですね。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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