深宇宙を探る
1990年に打ちあげられたNASAのハッブル宇宙望遠鏡は、宇宙に対するわれわれの概念に革命的な変化をもたらした。
1993年の最初のミッションでは、2つの驚くべき任務が遂行された。
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ひとつめは不具合のあったハッブル宇宙望遠鏡の主鏡の補正であり、これは完璧になされた。そして、2つめの任務は望遠鏡のバージョンアップだった。最初に搭載されていた広域惑星カメラも第2世代のWFPC2に交換された。議論を呼んだが、時間を要するハイリスクの計画、ハッブル・ディープ・フィールドが実施された。この計画とは、宇宙空間の何も見えない特定の領域を繰り返し撮影することだった。
新たな発見がなければ、最高級の望遠鏡を用いた史上最悪の時間の無駄づかいになる。しかし、懸念をよそに、ハッブル宇宙望遠鏡は他に類を見ない宇宙の一端を見せてくれた。
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何億光年も離れた、はるか彼方のいたるところに銀河が存在した。
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長時間露光によって未知の宇宙をとらえることができたため、その後も引きつづき、深宇宙の撮影が行われた。23日かけてとらえたエクストリーム・ディープ・フィールドは、現時点で最も深いところに位置する領域である。われわれが観測できる範囲には全部でおよそ2兆の銀河が存在すると考えられる。
だが現時点で、ハッブル宇宙望遠鏡で観測できるのは全銀河の10パーセントにすぎない。
新たな望遠鏡でさらに深淵へ
2021年12月25日に打ちあげられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって、状況は変わるはずだ。2022年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測が開始された。従来のハッブル宇宙望遠鏡の限界を越えて、さらなる深宇宙にあるおぼろげな銀河を観測すれば、新たな革命が確実にもたらされる。