ロシアによくある日本食やアジア料理が独特のセンスでフュージョンされた多国籍料理の店で、海外でおなじみのカリフォルニアロールなど、少し不思議なメニューも並んでいた。
ウランバートルでは、このような現代モンゴル料理に加え、ロシアやウクライナ、コーカサスなどのユーラシア料理はもちろん、イタリアンやドイツ、インド、韓国、中国、日本など、探すとかなりの各国料理の店があり、ヴィーガンレストランまであった。
いまのモンゴルでは、掛け値なしで極上の草原のネイチャーリゾート体験とともに、グルメやナイトライフといった都市観光も楽しめるのだ。
モンゴルの現代アートも楽しめる
ビヤホール「イフ・モンゴル」では、地ビールの「アルタンゴビ」と、現地でいちばん人気というモンゴルウォトカ「エデン」を飲んだ。オープンエアのテーブルで夜風にあたりながら飲むのは最高に気持ちが良かった。なにしろ夏でも20度くらいで暑さ知らずだからだ。ビールの味は、ロシアで飲んだクラフトビールに近く、ほどよいにごりを感じた。アルコール度数の高い蒸留酒を好むこの国の人たちは、中国のような香りの強い白酒ではなく、ロシアのウォトカに近い無味無臭のモンゴルウォトカを飲むようだ。
この街のバーやクラブはソウル通りと呼ばれるエリアにあった。現地の人たちと一緒にバーをはしごした。それは世界の都市のどこにでもありそうな若者向けの趣向を凝らした内装と、モンゴルらしいサブカル的な表現がいい感じでミックスしている和みの空間だった。
もう1つの面白い発見は、先ほど述べた「Bluefin Cuisine d’Art」の2階にある芸術家アカデミーで開かれていたモンゴル文字のカリグラフィー作品展だった。
旧ソ連の影響で20世紀半ばにキリル文字が採用されたモンゴルだが、1992年の民主化以降、伝統回帰ということで、義務教育でモンゴル文字を学習するようになったという。
縦書きで左から右に綴られる伝統的なモンゴル文字の流線型のゆるやかに連続する筆致は、若いこの国のアーティストにとっても視覚的に新鮮で、創作意欲がわく題材として映るのではないだろうか。