英紙ファイナンシャル・タイムズによると、BTでは業務委託契約の3万人を含む計13万人が働いている。削減対象は40%以上に上り、従業員と業務委託契約業者の両方が影響を受ける。同紙は匿名のBT関係者の話として、対象にはファイバーエンジニア1万5000人とメンテナンス作業員1万人も含まれると報じている。
同社のフィリップ・ジャンセン最高経営責任者(CEO)は、今回の人員削減は「スリム化」の一環だと記者団に説明。そのうちの約1万人の職がAIに置き換えられると予想していると述べた。
ジャンセンは、顧客サービス職とネットワーク管理職の大半を自動化する考えを示し、同社は「AIの大きな恩恵を受ける」と言明。生成AIについては「大きな躍進」とし、同社の自動化の取り組みを「さらに進められる」という確信を得たと述べた。
BTは現在、ファイバー通信網の全国展開に取り組んでいる。通信労働組合の広報担当者は英紙ガーディアンに、新しいインフラが労働要件の引き下げにつながることは予想していたものの、同社に対しては「削減は下請け業者の減少や自然減によるべき」と伝えたと語った。
数日前には、同じく英国の通信大手であるVodafone(ボーダフォン)が今後3年間に1万1000人を削減すると発表。同社は同業のThree(スリー)との合併を交渉しており、BTとは異なり、人員削減は競争力を維持するための取り組みの一環としている。合併が実現すれば、英国の大手携帯電話会社はO2、EEとともに3社となる。
ChatGPTなどの生成AIツールの躍進は、職場での活用方法をめぐる議論を引き起こした。企業はこれに対し、さまざまなアプローチを取っている。Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)は今年初め、ソフトウエア開発者によるコード作成や試験の補助に生成AIツールを使用していることを明らかにした。IBMのアービンド・クリシュナCEOはより直接的で、AIで代替可能な職種の採用を停止すると米通信ブルームバーグに語っている。
Samsung(サムスン)やアマゾン、JPMorgan(JPモルガン)、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)、Citigroup(シティグループ)、ドイツ銀行、Wells Fargo(ウェルズファーゴ)などは、自社のスタッフが職場でAI搭載のチャットボットを使用することを禁止している。だがこれらの禁止措置はAIの使用に関する広範な懸念というよりも、むしろチャットボット運用企業のデータ取り扱いの慣行や専有データの漏えいの可能性に対する懸念に起因している。
(forbes.com 原文)