WMOは年次報告書で、世界の気温が2027年までに産業革命以前の水準を1.5度上回る可能性が66%あると指摘。この予測が現実のものとなれば、初めて1.5度という上昇幅を超えることになる。
WMOは昨年、2022〜2026年に上昇幅1.5度を超える確率は五分五分と予測していた。1.5度を超える可能性の方が高いとの見解を示したのは今回が初めて。
気候変動の最悪の影響を回避するためには、世界の気温上昇幅を1.5度に抑えること必要とされる。米国を含む世界の大半の国は、この目標達成を目指すパリ協定に署名している。
WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、今後1年~数年で上昇幅が1.5度に到達したとしても、長期的な温暖化に言及しているパリ協定の目標が永久に達成不能になることにはならないと強調。ただし、上昇幅1.5度を一時的に超えることが「より高い頻度で」起きることになると警告した。
WMOによると、一時的に上昇幅1.5度を超える可能性は2015年以降高まっており、2017〜2021年にほぼゼロから約10%に上昇した。
WMOは報告書で、世界の気温は今後数年間で記録的水準になることがほぼ確実だと指摘。今後5年間のうちいずれかの年で平均気温が史上最高となる可能性は98%で、5年間の平均気温が過去5年間を上回る可能性も同じく98%としている。
WMOは1月、過去8年間の世界の気温は最も高かったと発表。人間の活動による温室効果ガスの放出が気温上昇の原因となっているとした。世界各地では近年、異常気象や干ばつ、火災、洪水、記録的な熱波など、温暖化に関連した事象が相次いでいる。
ここ数年は記録更新が相次いでいるものの、同時にラニーニャ現象による冷却効果の恩恵も受けている。WMOは、今後数年間はエルニーニョ現象の発生が気温上昇の主要因の一つになるとみている。
英気象庁の科学者で、報告書を監督したレオン・ハーマンソンは「世界の平均気温は上昇を続け、私たちが慣れ親しんだ気候から一層遠ざかっていくことが予想される」と語っている。
(forbes.com 原文)