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2023.05.21

エンタメ王国・韓国、次はゲームで世界へ。好調カカオゲームズの戦略

日本配信予定の北欧神話オープンワールドRPG「オーディン:ヴァルハラ・ライジング」発表会に参加したゲームインフルエンサー

エンタメ・美容大国の韓国が次に覇権を握ろうとしている市場は、ずばりゲームだ。

2021年の世界ゲーム市場規模は2197億5800万ドル(約29兆円)にもなる。そのうち米国が22%、中国が20.4%、日本が10.3%、そして韓国が7.6%を占めている。経済大国の背中をめがけて、韓国が追い上げていることがわかる。

韓国はこれまでK-POP、美容、ドラマなどさまざまな分野で世界の市場を席巻してきたが、ゲーム市場ではどう勝利を狙うのか。

今回は、世界進出する韓国の大手ゲーム会社カカオゲームズジャパンの成長と戦略に注目しながら、韓国のゲーム市場を分析したい。

カカオゲームズ掲げる「Beyond Korea戦略」

カカオゲームズは、韓国の大手IT企業であるカカオのゲーム専門子会社だ。親会社カカオが持つプラットフォームを強みに、モバイル・PCゲーム事業を中心に手がける。

同社はゲームの開発だけでなく、サイバーエージェントグループ、Cygamesのスマホゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』や『プリンセスコネクト!Re:Dive』などとパブリッシング契約を結び、日本の人気モバイルゲームを韓国で広めることもしてきた。

ここ数年でカカオゲームズを大きな成長へと導いたのが、2020年5月の韓国のゲーム制作会社であるライオンハートスタジオの「オーディン:ヴァルハラライジング」(以下、オーディン)とのパブリッシング契約の締結だ。北欧神話をテーマにしたRPGのオーディンは、2021年6月に韓国でリリースして以来ヒット作品となった。

オーディンの特徴は独創的な北欧神話をベースにした世界観とフル3Dグラフィックだ。他のモバイルゲームとは違って、オーディンはグラフィックを生かしモバイルだけでなくPC環境でもプレイを可能にしたクロスプラットフォームゲームなのである。外出中はモバイルで、家では大画面モニターで、と使い分けて楽しむことができる。
韓国で大人気なR P Gゲーム「オーディン:ヴァルハラライジング」

韓国で大人気なRPGゲーム「オーディン:ヴァルハラライジング」


また、大規模多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)であることから、30対30人のチーム戦や、数千人規模で展開するレイドバトル(1体の強敵に対して複数人で挑むバトル形式のこと)ができるのも人気の理由となった。

2021年11月、ライオンハートスタジオはカカオゲームズの子会社となり、事業の成長を後押しした。カカオゲームズは昨年の売上高で1兆1477億ウォン(約1534億円、前年比13%増)を記録した。同社にとって歴代最高の結果となった。
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文=裵麗善/Ryoseon Bae

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