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2023.05.21 08:30

エンタメ王国・韓国、次はゲームで世界へ。好調カカオゲームズの戦略

日本配信予定の北欧神話オープンワールドRPG「オーディン:ヴァルハラ・ライジング」発表会に参加したゲームインフルエンサー

モバイルで成長してきた韓国のゲーム市場

日本のゲーム業界はNintendo SwitchやPlayStationなど家庭用ゲーム機を使うコンシューマーゲームに強いのに対して、韓国はモバイル・PCゲームで成長してきたのが特徴だ。
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韓国ゲーム市場は、2021年に売上高が20兆9913億ウォン(約2兆991億円)と、はじめて20兆ウォンを突破した。

そのうちモバイルゲームの売上高は2021年は12兆1483億ウォン(約1兆2483億円)で、全体のゲーム産業の売上高の57.9%を占めている。次に多く占めるのが、PCゲームの売上高は5兆6373億ウォン(約5803億円)で、全体の26.8%にもなる。

あわせて日本のモバイルゲームアプリ市場を見ると、韓国のゲーム会社が日本を魅力的な市場として捉える理由が分かる。一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会の『2022CESAゲーム白書』によると、2021年の日本のモバイルゲームアプリ市場規模は、1兆3060億円(2020年:1兆2113億円)と推計されている。モバイルゲームの市場規模を国別に見ると、アメリカが1位、中国が2位、日本が3位だ。
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また、韓国のゲーム市場における輸出額の割合は中国(34.1%)、東南アジア(17.0%)、北米と欧州(それぞれ12.6%)、日本(10.5%)の順となっている(2022大韓民国ゲーム白書)。カカオゲームズのように日本に本格進出する韓国のゲーム会社が増えていけば、この順位も変わってくるだろう。

カカオゲームズの勝算

オーディンはすでに数カ国で配信してきた実績があるとはいえ、日本にはゼルダの伝説やファイナルファンタジーシリーズなど、RPGでも世界で人気の名作で溢れている。それでもカカオゲームズには勝算があるのか。

カカオゲームズジャパンのプロジェクトマネージャー石民帝氏は次のように語る。

「カカオゲームズにとって、日本の名作を超えるものをつくるというのは大きなハードルの1つです。日本のゲームと差をつけるためには、技術で戦うしかありません。

我々の強みは、大規模多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)です。100人単位、1000人単位で同時にプレーできるRPGゲームの実現など、MMORPGに強い我々だからこそ提供できる価値があると考えています。少なくとも、これからMMORPGのジャンルでは確実に世界1位を取りに行きたいです」
カカオゲームズジャパンのプロジェクトマネージャー石民帝氏(右)

カカオゲームズジャパンのプロジェクトマネージャー石民帝氏(右)


モバイル・PC事業を中心に成長し続けてきた韓国のゲーム市場。韓国最大手のゲーム会社ネクソンは、『メイプルストーリー』『アラド戦記』などのロングヒット・タイトルを多数有しており、すでにアジア・北南米・欧州をはじめとする190を超える国と地域にてオンラインゲームのサービスを展開してきた。

また、グローバルモバイルゲーム市場で売上2位を記録する『PUBG Mobile』を手掛けるクラフトンも、ネクソンに続く韓国の大手ゲーム会社であり、海外事業に注力してきた。

海外進出をきっかけに、韓国が世界でどのようにポジションを獲得していくのか、カカオゲームズをはじめとする今後の韓国のゲーム会社の動きに目が離せない。

文=裵麗善/Ryoseon Bae

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