また、公共財、共有財としてサービスが機能するようになると、もしかするとそこから新しいビジネスが生まれたり、社会課題の解決に繋がるアプリケーションが生まれるかもしれないという期待もあります。僕らがオープンソースにこだわるのも、そういった広がりを重要視しているからです」
Re:Earthは現在、PLATEAUの他にも、目黒区の地域情報や散歩コースをマッピングする「目黒デジタルアーカイブ100」、空き家や耕作放棄地のマッピング、観光プロモーションの管理システムまで、さまざまな公共性の高いプロジェクトを手掛けている。驚くのは、その活用がストーリーテリングにまで及んでいることだ。
「大学生と一緒に、Re:Earthを使って本の内容を表現するというプロジェクトを行なったんです。まず学生は本の内容を考えて、最初の一文をAIに読ませ、AIに自動で物語を作らせます。そうして出来上がる物語は支離滅裂なんですが、それをRe:Earthの地図上に重ねていくことで、脳内補完されるように、文脈が繋がっていくんです。
それを作ったのは文系の学生。つまりノーコードだから簡単に作ることができたといえます。とはいえ、このような使い方は僕ら自身も驚きましたし、新しい可能性を見出すことができました」
利益を循環させる仕組みづくり
ユーカリヤはRe:Earthの開発にあたり、レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)という売り上げシェア型のファイナンスと、クラウドファウンディングによって、2019年に2.75億円を調達している。今後の資金調達についてはどのように考えているのだろうか。「現在、僕がユーカリヤの株を100%持っているんですが、最終的には財団を作って、そこがすべての株を持つようにしたい。さらにユーカリヤで出た利益の配当を財団に入れる仕組みを作って、コミュニティのメンバーが意思決定をする形で、ITや教育インフラが整ってないところにお金が回っていくようにしたいと考えています。その理想の形を作るために、次の資金調達を考えています」