グーグルのスンダー・ピチャイCEOは10日、同社のAI活用を紹介するプレゼンテーションを行い、翌日のアルファベットの株価は4%以上急上昇し、2日間の上昇率は9%に達した。
同社の株価は現在、昨年8月以来の高水準を記録し、時価総額は1兆4800億ドルに到達。世界で4番目に価値が高い上場企業としての地位を確固たるものにしている。
バンク・オブ・アメリカのアナリストのジャスティン・ポストとジョアンナ・ザオは、10日のピチャイのプレゼンテーションを「AIのナラティブを変えるための前向きなステップ」と評価し、ChatGPTを搭載したマイクロソフトの検索エンジンが、グーグルよりも有利にな立場にあるという認識に変化を与えると分析した。
「グーグルは、AIを利用した検索が消費者のオンライン活動の入り口となり、広告収入の増加を促進できることを示した」と彼らは述べた。
株価上昇の恩恵を大きく受けたのは、グーグルの現・元幹部たちで、共同創業者で取締役のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンはそれぞれ41億ドルと、39億ドルの資産を追加し、合計90億ドル以上の資産を増加させた。
フォーブスのリアルタイム・ビリオネア・トラッカーによると、ペイジとブリンの保有資産はそれぞれ996億ドル(約13兆4000億円)と953億ドル(約12兆8000億円)で、2人は世界で7番目と10番目に裕福な人物となっている。
一方で、アルファベットに対し厳しい見方を示すのが、ウェドブッシュ証券のアナリストのダン・アイブスだ。彼によるとグーグルが発表した生成AIの改良版は「マイクロソフトとのAI戦争における前向きなステップ」ではあるが、アルファベットは引き続き「マイクロソフトにキャッチアップするモードで運営されている」という。
マイクロソフトはChatGPTの親会社であるOpenAIに早くから投資していたため、この分野の「重要な先行者」となっており、市場シェア争いでアルファベットが勝つのは難しいとアイブスは述べている。
OpenAIが昨年11月にリリースしたChatGPTは、史上最速で1億人の利用者を獲得し、今年2月にマイクロソフトの検索エンジンのBingに統合された。AIを用いた検索エンジンの競争の激化に対するグーグルの初期の対応は不十分であったとする見方が多く、アルファベットの株価は10%も下落していた。
(forbes.com 原文)