国土安全保障省(DHS)が運営するウェブサイトであるEベリファイは、雇用主が連邦政府のI-9フォームの情報を参照して従業員の移民ステータスを確認し、労働が許可されているかを確認するためのシステムだ。
Eベリファイは、すでに22の州で雇用主に利用が義務付けられており、そのうち14州は共和党の知事が率いる州だが、一部の共和党員は移民労働者に依存している農業の弱体を招く可能性があるとして反対している。
5月9日には、元サウスカロライナ州知事で2024年の共和党大統領候補のニッキー・ヘイリーが、全国的なEベリファイの義務化を求め、不法移民が米国の労働者の仕事を奪うことを恐れる主要な共和党員のグループに加わった。
フロリダ州の議会も、25人以上の従業員を持つ企業にEベリファイの使用を義務付けるSB 1718を可決した。また、テキサス州の議会は、Eベリファイの導入を目指すHB 602という法案を現在審議中だ。
さらに共和党の議員らは先月、南部の国境の壁の建設を再開し、Eベリファイを義務化することを含む、トランプ政権時代の政策を法制化することを目指す法案「Secure the Border Act」を提案したが、この法案は、民主党が支配する下院での成立の可能性が低く、バイデン大統領も拒否権を行使すると宣言した。
一方で、アイダホ州の共和党のマイク・シンプソン議員は、Eベリファイの義務化が移民労働者の減少を招き、農家の労働力不足を悪化させることを懸念している。農業団体のアメリカン・ファーム・ビューロー連盟も、労働力不足が「米国の農業の成長を制限する最大の要因の1つ」だと述べ、Eベリファイの義務化に取り組む前に、議会がまず人員不足の問題に対処し「移民労働者プログラムを近代化する必要がある」と主張している。
Eベリファイはまた、身分証明書をチェックするだけの簡易な仕組みで運営されているため、回避が容易な点も問題になっている。2009年のWestatの調査では、約54%の不法滞在者が、他人の書類を提出することで規制を回避しており、一部は身分証明書を借りたり盗んだりしていることが判明していた。
(forbses.com 原文)