北米

2023.04.26

米共和党、AI活用のフェイク動画で「バイデン再選阻止」訴え

Getty Images

米共和党全国委員会(RNC)は4月25日、バイデン大統領が2024年大統領選への出馬を正式に表明した直後に、人工知能(AI)を用いて生成した不吉な動画を公開した。

この動画では、バイデン大統領の勝利を報じるニュース映像に続いて、台湾での爆撃や、サンフランシスコの街路を埋めつくす武装警察、国境に押し寄せる移民、廃墟と化したウォール街といったAIが生成した終末的な世界が映し出されている。

さらに、ニュースキャスターらしき人物の声が「誰が責任者なのか? 列車は線路から外れてしまった」とコメントしている。



RNCの広報担当者はニュースサイトAxiosに対し、この動画がAIを用いて制作されたものだと述べた。民主党と共和党の両党は、2024年の大統領選でAIを活用する計画を発表したが、このテクノロジーは悪質なフェイクコンテンツに関する懸念を引き起こしている。

民主党全国委員会のサム・コーナレ事務局長は、共和党が制作した動画について「彼らはAIに助けを求めるしかないのだろう」と25日にツイートした。

RNCのロナ・マクダニエル委員長は声明で、バイデン大統領の「感覚がずれている」と批判し、彼が再選されれば「インフレは高騰し続け、犯罪率は上昇し、子どもたちは取り残され続け、米国人の暮らしはより悪くなる」と警告した。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は3月28日の記事で、昨年11月にOpenAIがChatGPTをリリースしたことを受けて、両党の選挙チームがチャットボットを使って候補者の発言やEメールなどの文章コンテンツを生成するテストを行っている報じていた。

しかし、候補者が直接話しかけているように聞こえる音声メッセージや、有権者を装ったチャットボットなどが国民を欺くために利用される懸念があると、NYTは指摘した。AIが生成した著名な政治家のパロディーは、ここ数カ月で注目を集めており、先日は、トランプが逮捕されて囚人服を着ているフェイク画像がSNS上で広く共有された。

一方、ディープフェイクの動画や音声は何年も前から広く用いられている。2018年にはオバマ元大統領がトランプ氏を「完全なクソ野郎」と呼ぶフェイク動画が出回り、2004年には当時の民主党の大統領候補だったジョン・ケリーと女優のジェーン・フォンダが1970年代に反戦デモに参加している様子を描いた改変画像がネット上で広く共有された。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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