2. 外部人材をうまく活用する(地方都市B市)
1と類似した話ですが、日本は、企業内の人材流動性が低いため、変えるべきものの見極めが難しい状況にあります。そこでヒントになるのが「外部人材の活用」です。第三者視点を入れると、自分たちにとって当たり前で変革ポイントがないと思っていたものに対する指摘をもらうことができます。
現在、地方都市の変革に向け、国もDX人材の派遣を進めています。この背景には、地方にデジタル人材が少ないという実情も当然ありますが、変革を加速度的に進めるためでもあります。
B市では、市長が「業務を変革して生産性向上できないか?」と年に何度も職員へ問いかけてみたものの、いつも返ってくるのは、現在の法律や労働環境を理由に「ありません」という答えでした。
しかし、ある年、民間企業の人材の方が入ってみてみたところ、変えるべきポイントがいくつも挙げられました。その方の現在の働き方視点でみると、役所の働き方が数年前の自分たちと酷似していたのです。数年前の体験をベースに変革を進めていくことで、業務のスリム化は徐々に進んでいきました。
組織の変革を進めるということは、ときに現状のやり方・考え方を否定する必要があります。そうした場合、過去の成功体験を否定することにもつながり、抵抗勢力が立ちはだかることもあるでしょう。その時にも外部人材は有効です。外部有識者のコメントがあれば、内部の抵抗勢力も多少は聞いてくれる可能性があります。
少し話はそれますが、2021年のDX白書にも触れたいと思います。ここに書かれた、企業変革を推進するためのリーダーにあるべきマインドおよびスキルで、日本の数値が突出しているのは次の項目でした。「戦略的思考」「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」「意思決定能力」「実行力」。
図 1 リーダーにあるべきマインドおよびスキル(DX白書2021)
これは暗に内部の実行力に課題があるということを指しているのではないかと考えます。