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2023.05.10

弁護士の7割超がAIに期待も、精度や品質に高い不安感

Getty Images

近年、電子契約サービスや文書管理サービスなど、法律業界ではリーガルテックを活用し、業務の効率化や精度向上を図る動きが広がりつつある。そうした中、弁護士はローンチ以降、破竹の勢いで普及するChatGPTをどのように活用しているのだろうか。

国内最大級の法律相談ポータルサイトを運営する弁護士ドットコムは、チャット型AIツールの利用に関する調査を4月4日から9日、登録弁護士146名を対象に実施。ChatGPTの利用実態や期待感、懸念などを明らかにした。

まずChatGPTの利用状況について聞くと、「知っているが未使用」が最多で約4割(39.7%)を占め、「活用したことがある」と答えた人は約3割(28.8%)という結果に(業務・私的に活用」:15.8%、私的に活用:13%)。

具体的な活用例としては、「メール文案作成」や「法律相談の回答の概要の作成」、「契約条項の確認。込み入った事案の類似判例の調査」、「音声の文字起こし。必要書類のリスト化」「一般論(非法律事項、法律事項問わず)の概略説明」などが挙げられた。

弁護士業務にチャット型AIツールが導入される期待感と不安感を尋ねたところ、「期待している」派が7割超(期待している47.9%、やや期待している26%)を占め、「不安」視した人は1割を下回った(不安3.4%、やや不安6.2%)。

期待できる点については、1位「判例などの調査」(80.1%)、2位「依頼者・相談者らからの聞き取りの文字起こしや要点整理」(74%)、3位「書面作成への活用」(66.4%)の順となり、法律事務業務の効率化を求める回答が上位に並んだ。

一方、不安な点については最多が「事実関係や法律上の間違い」(76%)、2位「守秘義務や情報漏洩」(67.8%)と、弁護士業務に関するものが上位を占めた(いずれも複数回答可)。

他、チャット型AIツールについて弁護士からは、「過剰な負担軽減のためにもAIの利用は望まれる一方で、セキュリティや責任の所在、その他法律上の問題が生じる可能性等のリスクがあるため、範囲の限定や安心できるサービスが提供されるか動向を見守りたい」という慎重な声や、「相談/交渉/裁判のうち、相談の大部分をAIで代替することで、弁護士業務がより専門的なものになるのではないか、市民の法的素養が向上するのではないかという期待がある」といった意見も寄せられた。

後者については弁護士ドットコムが5月12日、AI法律相談チャットサービス「弁護士ドットコム チャット法律相談(α版)」の試験提供を開始。同社が2007年より展開している無料法律相談サービス「みんなの法律相談」に寄せられた125万件以上の相談データから抽出した質問・回答を用いたAI法律相談チャットサービスで、誰でも24時間、無料で相談できる(※)。

※1日5回まで質問可能

プレスリリース

文=大柏 真佑実

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