AI

2023.05.09

AIが商談を成功パターンに導く 営業マンの育成に寄与するか

プレスリリースより

リモート商談の内容をAIがリアルタイムで解析して、話がまとまる方向へと会話を導いてくれる商談アシストプラットフォーム「Front Agent」が正式リリースされました。Umee Technologies(ユミー)が開発したこのシステムは、これまで属人的で無形資産とされてきた商談のノウハウを可視化して成功パターンを割り出すことで、商談成立だけでなく、人材育成にも貢献します。

商談を上手にまとめる営業トークのスキルは個人の裁量が物を言う世界であり、磨くにはその道の達人に師事して実地で体得するしかありませんでした。そのため、優秀な営業マンの育成には時間がかかり、しかも誰もが同じようにスキルを習得できるとは限りません。「Front Agent」は、そんな常識を覆します。

「話術の視覚インストール時代」の実現を目指す電気通信大学認定スタートアップ、ユミーは、会話をリアルタイムに支援する人協調型AIや自然言語処理の研究を通じてこのAIシステムを開発しました。オンライン会議、電話、対面での会話など、録音できる環境があればどこでも使え、プログラミングや学習が不要なので導入初日から「トップセールスのノウハウの組織展開」が可能とのことです。ノーコードでアシストAIの設計ができ、リード顧客の案件化から営業提案、カスタマーサクセスと、「営業活動に通じるあらゆる会話業務」に適用できます。

また、会話を文字起こしして自動的に議事録を作る機能もあります。そこでは話の要約、商談の結果につながる重要な会話の抽出、相手の反応や話の状況が一目でわかる「会話ヒートマップ」の提示、顧客の心理傾向の算出、商談統計データから会話の成功と失敗の傾向の分析なども行われるため、人材育成や根拠にもとづくマネージメントにも役立ちます。

「Front Agent」を導入したことで、アポイント獲得率が3カ月で3パーセントから26パーセントに向上した企業もあったといいます。また、トップ営業マンの音声データから社員教育用の教材も同時に得られたという税理士法人の事例もありました。AIが話を上手にリードしてくれる便利なサービスなわけですが、ベテランの高度なスキルを可視化して資産化する手段としての意義も大きいように思えます。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

ForbesBrandVoice

人気記事