マイクロファイバーを洗濯時に回収、環境団体がEUに義務化を要望

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今回の報告書は、マイクロプラスチック問題に取り組む複数の団体である「A Plastic Planet(ア・プラスチック・プラネット)」「Matter.(マター・ドット)」、PlanetCare(プラネットケア)、5 Gyres Institute(ファイブ・ジャイルズ・インスティチュート)」、そして、洗濯機用フィルターを開発したゼロスによるものだ。

また、報告書の作成資金に関しては、Plastic Soup Foundation(プラスチック・スープ・ファウンデーション)、Fashion Revolution(ファッション・レボリューション)、Ocean Conservancy(オーシャン・コンサバンシー)、Good on You(グッド・オン・ユー)など、さまざまな環境保護団体も協力している。

報告書は、マイクロファイバーの環境への流出を削減するためには、多種多様な解決策が必要だと訴えている。例えば、合成繊維の生産や使用の削減、材料設計や製造工程の改善も必要だ。また、下水処理は、マイクロプラスチックを長期的に削減できる効果的な解決策になりうるものの、現時点ではそうした役目には向いていないと、報告書は指摘している。

それよりも、洗濯機に設置したフィルターでマイクロファイバーを回収する方法のほうが効果的であり、市販のものですぐに導入できるという。

洗濯機へのフィルター設置を義務づければ、欧州委員会は、持続可能で循環型のテキスタイル(織物)を目指すというEUの戦略を実現できるかもしれないと、報告書には書かれている。テキスタイルに関するこの戦略は、EUが2020年に発表した新循環経済行動計画(New Circular Economy Action Plan)に含まれている。

ファイブ・ジャイルズ・インスティチュートの科学・イノベーション部門を統括するリサ・アーデルはメールで、今回の報告書の目標は、政策立案者に向けて、マイクロファイバーに関する重要な全体像を示すことだと説明した。マイクロファイバーがどこで生まれ、環境のどこにたどり着き、野生生物にどのような影響を与えるのかを、最新研究にもとづいて説明しているという。

「洗濯機のフィルターに関して明らかになっていることに焦点を当て、洗濯機に搭載されたフィルターは、マイクロファイバーが生態系に流出する前に回収できる効果的な解決策であることを強くアピールしている」

英国では2022年5月、活動家たちが政府に宛てた書簡を発表し、新しく製造されたすべての洗濯機にマイクロプラスチックの除去フィルターを取り付けることを法律で規定して欲しいと訴えていた。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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