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2023.05.04 11:00

海外人気の「着物」をモダンに。カルチャープレナー創業5年物語

 地場の西陣織メーカーとコラボから得たもの 

そんなコラボレーションを展開するなか、地元京都で1960年創業の機屋をルーツにもつ西陣織メーカー「田村屋」から声がかかった。「帯を織る技術があるのに、持て余している」という課題が持ちかけられたのだ。
 
限定販売し、好評だった「Relier81 × 田村屋」コラボレーションサンダル[2] 

限定販売し、好評だった「Relier81 × 田村屋」コラボレーションサンダル 


西陣織の試験織見本である「目出し」が多くあるなか、使い道がないためRelier81のサンダルとしてアップサイクルすることに。中底とヒールに本革を使用。靴職人が一足ずつ丁寧に製作し、2022年春にオンライン販売のほか大阪・阪急うめだ本店で限定販売をした。ポップアップでは、約40種類の目出しから好きな生地を選び、セミオーダーできるようにした。
 
「当ブランドに興味を持ってくださる方には『西陣織だから』という理由で購入される層はまだまだ少ないのが現状です。ですが、その技術を残していくためにも価値を知ってもらう情報発信や、ファッションとして取り入れやすいように売り出しました」と振り返る。
 
この伝統産業との本格的なコラボレーションを機に、新たな展開の着想も得た。「織見本や着物の生地見本などは、さまざまな産地に残されたまま使われていないものがたくさんあると思います。そんな日本各地の産地の歴史や職人の手仕事の素晴らしさを伝えるブランドになっていきたいです」
 
「京都から世界へ」を掲げつつ、これからは日本各地に目を向け、着物地のリサーチを広げるつもりだ。
 
「Relier81 × 田村屋」[3] コラボ 本革のソールが、西陣織の風合いを引き立てている

「Relier81 × 田村屋」コラボ 本革のソールが、西陣織の風合いを引き立てている

コロナ禍の廃業と追い風

数々のコラボレーションを経てきたRelier81だが、ブランドが広がったのは、ちょうどコロナ禍に重なる。田尻の周りでも靴の部品を製造する資材屋が倒産するなど、厳しい現実を目の当たりにした。一方で、Relier81にとっては思いがけぬ追い風となった。
 
コロナ禍では、日本でもアパレル業界が内側に目を向け、SDGsやサステナブルを推進する契機となった。そんな中、米国発の高級セレクトショップ「バーニーズ ニューヨーク」を日本で展開する運営会社のシューズバイヤーが、思うように海外買い付けができないということもあり、日本の着物帯をアップサイクルするRelier81に注目し、セレクトショップやオンライン販売をすることになった。
 
「予期せぬ事態になった時に、いかに逆風を追い風にできるかが大きな学びとなりました。なかでもアクションが早い企業ほど、勝ち残れることを実感しました。当ブランドの場合、当初からサステナブルなビジネスを展開していたので、外部環境の変化とリンクし、インスタグラムを通じて注目していただけました」

起業から5年。顧客の声からリブランディング

Relier81は5月に、創業から5周年を迎える。これまで着物をアップサイクルしたレディース向けの靴一本に絞ってブランドを展開してきた。特にアパレルのなかでも靴は、仕入れも販売も難しいジャンルだという。だからこそ、田尻にとっては挑戦的で面白かった。
 
だが、全国のポップアップストアで出会った顧客からは「靴以外のアイテムがあったらいいな」といった声を受けるように。百貨店や取扱店のバイヤーからも「バッグや服など他のアイテムがあった方がリピートにも繋がる」という指摘も受けた。そこで1年前からリブランディングに向けて、日本古来のモノからインスピレーションを受けて、新たなアイテムの商品開発を試みてきた。
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