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2023.05.11 10:00

もう着払い伝票はいらない? 郵政発「1億2千万人向け」新サービスとは

日本郵便 住本 裕一(左)、宮永 朋彦(中央左)/ モンスターラボホールディングス 宇野 智之(中央)、久良木 慎二(中央右)、梶山 雅生(右)

モンスターラボホールディングス 久良木 慎二:デザイン思考においては、技術的側面との擦り合わせも当然、必要となります。「ユーザーがしたいこと」を、そのままインターフェイスに実装すれば良いかと言うと、そうではありません。
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今回のプロジェクトであった例を出すと、たとえば、苗字などで見かける「髙」※ハシゴダカという「高」の異体字があります。この記事をご覧になっている方は、現在インターネットで多く使われる文字コードの形式(UTF-8:ユーティーエフエイト)を利用していため「髙」と「高」の区別が付いていると思います。

ところが、日本郵便で使われているシステムの一部には、違う形式の文字コードが使われています。「髙」ハシゴダカが入力された際は、文字を「高」に変換しない限り、システムが処理が継続できないケースがあります。

今、ハシゴダカの髙橋さんが荷物を発送したいと思って、苗字の欄に「髙橋」で入力して、最後の最後でエラーのメッセージが出たら、どう思うでしょうか。がっかりどころか、二度とそのサービスは使わないと思うかも知れません。この場合はユーザー体験を担保するために「髙」を入力できないように事前に制御する必要があります。
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日本郵便のユーザーは全国民、1億2千万人です。漢字の例だけを取っても、種々様々なケースが存在します。そういったケースも含めて、デザイン思考のプロセスも用いて解決していくわけです。

日本郵便 住本 裕一:伝票を手書きで書くということは、顧客にとって大きな負担です。「e発送サービス宛先ご指定便」では事前に入力した情報を二次元バーコードを使って簡単に発送できるようになったわけですが、物流事業者の視点から見ると手書きの伝票ほど「引受(ひきうけ)」の際の負担が大きいものはありません。

不鮮明な文字や誤字脱字があり、機械が読めるレベルを越えると、人手で目視して処理するしかありません。今回の「e発送サービス宛先ご指定便」は顧客へのサービスレベル向上が目的でしたが、結果、事業者側の負担も逓減されるという効果も出ています。

全国に2万4千箇所の郵便局があり、24万人のスタッフを抱える日本郵便の業務は多岐に渡ります。「e発送サービス宛先ご指定便」以外にもデザイン思考で人手不足の解消やDX化を図れる部分は、まだまだ多くあると思います。
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文=曽根康司 編集=石井節子

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