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2023.05.11

もう着払い伝票はいらない? 郵政発「1億2千万人向け」新サービスとは

日本郵便 住本 裕一(左)、宮永 朋彦(中央左)/ モンスターラボホールディングス 宇野 智之(中央)、久良木 慎二(中央右)、梶山 雅生(右)

日本郵便 住本 裕一:我々の物流営業部では、法人・個人、両方のお客様を担当しておりますが、ここ数年はフリーマーケットサイトの隆盛で、個人からの発送が急激に増えており、その勢いは社内で「異常事態」とも言える認識をしていました。

そういった経緯もあり、個人が発送する仕組みについては、着々と整備が進んでいました。「返品の受付」をスムーズにするために、そのフリーマーケットの対応で培った個人が発送する仕組みを、いい形で流用できなかという着想に至ったのです。

着想には至ったものの、個人ユーザーにとって使いにくい複雑なシステムにはしたくありませんでした。開発体制をどう構築するかを検討していたところ、同じグループ内の日本郵政キャピタルからモンスターラボを紹介されたのです。まさに渡りに船でした。

タッグを組んだモンスターラボが「提供するもの」とは

──ウェブサイトやアプリケーションを開発する会社や組織は、それこそ「星」の数ほどあると思うのですが、その中で、今回モンスターラボがパートナーに選ばれた理由だとお考えになられている点や、クライアントに対して価値提供する際に重視されている点についてお聞かせください。

モンスターラボホールディングス 宇野 智之:モンスターラボが提供するのは「開発」ではなくて「チーム」なんです。さらにいうと「チームビルディング」も含めて提供しています。そして、開発するのは「サービス」だけではなく「体験」も、です。

モンスターラボでは「ターゲットとしている顧客の行動変容」を重視しています。クライアントと一緒に仮説を考え、体験を設計していきます。設計の際はデザイン思考(デザインシンキング)や論理思考(ロジカルシンキング)を使いながら具体化していきます。もちろん仮説が全て正しいとは限りません。きっちり観察して仮説の検証を行います。

今回のプロジェクトは、日本郵便という「とにかく物流量が多い」クライアントからの依頼であり、手書きのインターフェイス含め、アナログで動いている部分が多いと感じました。同時にテクノロジーが介在できる部分が大きく、モンスターラボが提供した価値がアウトプットに及ぼす影響も多大だと率直に思いました。

話しが戻りますが、モンスターラボが提供するのは「チーム」です。ビジネスですからクライアントからの依頼という受発注の関係は存在しますが、モンスターラボのメンバーは「自分たちのものづくり」という感覚でプロジェクトに臨んでいます。手前味噌ながら、このあたりも含めてご評価いただけたのではないかと感じています。
次ページ > モンスターラボのモンスターは「Monster」ではなく「Monstar」

文=曽根康司 編集=石井節子

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