GX中小企業の8割が取り組めず ネックはリソース不足

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政府は脱酸素社会の実現に向けて、「2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量ゼロ)を目指すこと」を宣言。そのための「GX実現に向けた基本方針」をまとめ、2月に閣議決定した。

GXとはグリーントランスフォーメーションの略で、経産省によると「化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動」のこと。その基本方針には、2028年度から化石燃料輸入企業などを対象とした賦課金の徴収や、2026年度から国や企業ごとに定めた温室効果ガスの排出枠を売買する「排出量取引」などといった、カーボンプライシングの本格導入も盛り込まれている。

まさに国を挙げての取り組みだが、日本企業の99%以上を占める中小企業では、8割近くがGXに取り組めていないという事実が明らかになった。コンサルティング事業を展開するフォーバルグループのフォーバルGDXリサーチ研究所は、1月10日~2月10日、中小企業の経営者1619人を対象に「GXに関する実態調査 第2弾」を実施。

中小企業経営者の9割以上がGXについてよく知らないと回答した前回調査を踏まえ、中小企業でのGX推進実態やGXが進まない理由などについて調べた結果を公開した。

まず自社でGXと、GX推進に必要なDXに取り組んでいるかに関しては、「取り組めている」と回答した割合がDXについては半数(50.8%)に上る一方で、GXについては23.3%。中小企業経営者の4人に1人しか、DXに取り組めていないという結果に。

GXに取り組んでいると答えた回答者に、自社での取り組みレベルを「1:意識改革(GXに向けた省エネ推進)」「2:情報開示(温室効果ガス排出量と削減施策の情報開示)」「3:事業改革(事業戦略の再構築・新規事業創出)」の3ステップに分けて尋ねると、85.4%が「1:意識改革」のレベルにとどまっていることが分かった。
さらに、「GX推進のための部門・プロジェクトの設置」について尋ねると、「既に取り組んでいる」の回答はわずか4.1%。最多が「必要だと思うが取り組めていない」(46.3%)で、「取り組むつもりはない」(43.1%)が続いた。

GX推進部門・プロジェクトの設置に取り組めていない理由としては、1位が「対応する人材がいない」で28.9%。2位に「どうすればいいかわからない」(24.4%)、3位に「対応する時間の余裕がない」(22.8%)が続いた。

一方で、GX推進部門・プロジェクトを設置していると答えた回答者に、現状の効果・浸透度を調査したところ、「効果が出ている/浸透している」が6割以上を占めた(とても効果が出ている/浸透している:21.2%、やや効果が出ている/浸透している:42.4%)。

同研究所 所長の平良学(たいら・まなぶ)氏は、「GXと言ってもやれること、すべきことは数多くある。経営リソースが限られている中小企業が全ての分野に対応するのは難しいため、まずはCO2削減につながる施策に集中するのがよいと考える」と提案。

続けて「CO2削減は中小企業の業務と非常に密接しているため貢献もしやすいが、貢献度合いを見るためには数値化、可視化をしなくてはならない。GXを進めるためには、まずDXに取り組む必要がある」と、企業がDXとGXに両輪で取り組んでいく必要性を指摘した。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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