海外

2023.05.04 09:00

人工衛星の「給油所」で宇宙ビジネスを変える米スタートアップ

Getty Images

宇宙ゴミ除去の日本企業とも提携

フェイバーは、フォーブスの「30 UNDER 30」に選出されたことのあるジェレミー・シール(Jeremy Schiel)とともに2018年にオービット・ファブを設立した。同社は、軌道上に燃料補給インフラを構築するため、これまでいくつかの段階を踏んできた。2019年には、民間企業として初めて国際宇宙ステーションに水を補給し、給油ハードウェアが機能することを実証してみせた。
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同社がもたらした大きなイノベーションの1つが「RAFTI(Rapidly Attachable Fuel Transfer Interface)」と呼ばれる宇宙船の燃料補給ポートのオープンライセンス規格だ。これまでに、米国防総省を含む複数の政府機関や100以上の商業団体がRAFTIを採用している。

米国政府はRAFTI規格の採用に加え、宇宙軍の衛星への燃料補給と軌道上のドッキングデポの開発でオービット・ファブと2100万ドル相当の契約を締結した。これらのプロジェクトの打ち上げは、2024年に開始する予定だ。

オービット・ファブは、民間企業との提携も進めている。昨年は、宇宙ゴミを除去する衛星を開発する日本企業「アストロスケール」と契約を締結した。フェイバーによると、燃料補給可能な衛星がもたらすもう1つの利点は、軌道上のゴミの削減だという。同社はまた、宇宙スタートアップの「Phase Four」や「Dawn Aerospace」「Neutron Star Systems」とも業務提携をしている。
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フェイバーは、新たに調達した資金でインフラ開発を加速させると同時に現在約60名の従業員数を25名程度増員する予定という。

「衛星を再利用し、従来できなかったことを実現できるようにすることで生まれる価値は考えられないほど大きい。そのことに対する評価が、今回の資金調達に表れている」とフェイバーは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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