中国はロシアを救えるか?
ロシアは手当たり次第に友好国や市場を求めている。特に目立つのは、中国とインドだ。中国の習金平国家主席は先にロシアのプーチン大統領と会談したが、それは実質的な内容よりも象徴的なものだった。中国の輸入全体に占める石油関連品目の割合は、約4分の3に上る。昨年10月にはロシア産石油の輸入を100億ドル(約1兆3400億円)に倍増させた。天然ガスについては6%をロシアから調達しているに過ぎないが、これは主にガスパイプライン設備が限られているためだ。どのような状況でも、中国は価格面で最良の取引をしたいと考えている。
一方のインドは、ロシアからの輸入がほぼない状態だったが、ロシア産石油を日量100万バレルも輸入するようになった。インド、中国ともに二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを目指しており、その健全な追求が海外からの投資を呼び込んでいる。
ロシアはこれまで、石油と天然ガスの最大の輸出国だった。戦略国際問題研究所のエネルギー安全保障・気候変動プログラム担当シニアアソシエイトのエドワード・チョウは、中国が最大の輸入国だとした上で「確かに中国の輸入は増えた。けれども、これには大幅な割引が伴っている。中国はこの機会を利用したのだ」と指摘する。
プーチン大統領は、欧米にはウクライナを守る気概も意志も資金もないと思っていた。ところが米国のジョー・バイデン大統領の下では、自由主義諸国はただ団結して自由を守るだけではなかった。再生可能エネルギーへの移行も早めたのだ。欧州の太陽光発電企業から成る団体ソーラーパワー・ヨーロッパは、大陸欧州で2021~22年にかけて屋上太陽光発電が47%成長したと推定している。国際エネルギー機関(IEA)によると、欧州では昨年、風力発電と太陽光発電が50ギガワット増加し、天然ガス消費が110億立方メートル抑えられたという。
これが新たなエネルギー市場を提供し、国際的な仲間入りを果たしたロシアと欧米諸国との30年間にわたる蜜月関係の悲しい結末だ。ロシアは今、経済制裁を受け、外交的にも断絶されている。すべては平和で民主的に確立された隣国を破壊しようとしているせいだ。その傷口に塩を塗り込むかのように、米国は利益をもたらす新たなLNG市場を欧州に見出した。環境政策を進め、二酸化炭素排出量正味ゼロの目標達成を目指す欧州では、LNGが一時的に注目されているのだ。
(forbes.com 原文)