およそ2年前、Cambriumと、GinkgoのEncapsulation and Screening(カプセル化およびスクリーニング)チーム(旧称FGen)は、データ駆動型代謝工学の可能性を広げるための提携を発表。Ginkgoの持つ微生物菌株開発の知識とウルトラ・ハイスループット・スクリーニング(uHTS)を、Cambriumのクラウド型タンパク質AIプラットフォームと組み合わせることで、多くの細胞のスクリーニングを行ってタンパク質生成を最適化した。
両社は提携を通じ、自明ではないターゲットを特定し、菌株の性能を著しく改善した。また、実験データをコンピューターモデルにマッピングすることで、菌株の最適化方針を決定し、高性能タンパク質生成に向けた迅速な収束を実現。高水準の高価値タンパク質を生成する新型細胞株の分離も可能になった。
Cambriumの最高科学責任者、チャーリー・コットン博士は「Ginkgoとの提携は、当社のAIアルゴリズムに入力する膨大なデータを生成するための自然な行動だった」と説明。「両社の強みを生かすことで、菌株工学と生産最適化のための貴重な手がかりを得ることができた」と述べている。
Ginkgo Bioworksの研究員、ロシオ・アギラー・スアレス博士は「当社のuHTSとナノリットル・リアクター技術を使って、機械学習ワークフローに入力する特定の表現型につながるデータを大量に生成することができた」とし、「Cambriumと提携したことで、当社のワークフローをAIに最適化し、菌株工学を次の段階へと進めることができた」と述べている。
CambriumとGinkgoの提携の成功により、両社とそれぞれのパートナーは、よりコスト効率の高いバイオマニュファクチャリング(バイオ製造)が可能となった。今回の提携は、生成系AIとハイスループット・スクリーニング技術を融合させて高性能な微生物菌株を高速に開発することの有用性を示した。
Ginkgoは来月、合成生物学の学会「SynBioBeta 2023: The Global Synthetic Biology Conference」でいくつかのセッションのスポンサーになる。学会ではさらに、生成系AIと合成生物学分野におけるその役割を中心に構成されたセッションも複数予定されいる。学会は、CanbriumとGingkoのような提携を推進し、それまで考えもしなかったようなシナジーを企業間で生み出す機会と議論の場を提供するものだ。
(forbes.com 原文)