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(C)Ginkgo Bioworks

合成生物学のパイオニアとして知られるユニコーン企業「ギンコ・バイオワークス(Ginkgo Bioworks)」は5月11日、総額175億ドルのSPAC(特別買収目的会社)との合併取引によって上場すると発表した。

ボストンに本拠を置くギンコ社は、ハリウッドの元重役のハリー・スローンが設立したSPACのソアリング・イーグル・アクイジション社(Soaring Eagle Acquisition Corp.)と合併し、ナスダックに上場する。

ギンコ社は、2008年にMITの博士号を持つジェイソン・ケリーCEOと、3人の同級生(レシュマ・シェッティ、バリー・カントン、オースティン・チェ)、さらにMITの元教授のトム・ナイトによって設立された。彼らのビジョンは、生物学のためのより優れたツールを開発し、肥料から工業製品まで、あらゆるものの製造方法を革新することだった。

「新型コロナウイルスのおかげで、奇妙なかたちで生物学の認知度が高まった今は面白い時代だ。私の両親ですらPCR検査について知っている」とケリーは話した。

合成生物学はまだ始まったばかりの分野で、創業者たちは当初、オークションで機材を調達していた。「大学でバイオテックのスタートアップを立ち上げる人は、私たち以外に居なかったし、製品化についてのアイデアも無かった」とケリーは話す。

しかし、バイオ分野への注目度はここ数年で高まり、先月は同社の競合でソフトバンクグループなどが出資する「ザイマージェン(Zymergen)」が企業価値30億ドルで上場し、5億ドルを調達していた。

一方で、ギンコ社の企業価値は150億ドル(約1兆6300億円)とされ、合併により25億ドルの資金注入を受ける。同社の合併相手のソアリング・イーグルを設立したスローンは、「ギンコ社はこの分野をリードするだけでなく、このカテゴリを生み出した企業だ。彼らは世界をよりヘルシーで清潔な場所に変えていく」と述べた。

ギンコ社は、様々な業界の70の異なる顧客と協力するポートフォリオ・アプローチを取っている。同社は複数の企業をスピンオフさせており、その中にはバイエルと共同で設立した農業関連の合弁会社のJoyn Bio社や、代替タンパク質に特化したMotif Foodworks社などが含まれている。同社は投資家向け資料で、バイオエンジニアリング製品の市場が今後20年間で2兆ドルを超えると予測している。

モデルナ社のワクチン開発も支援


ギンコ社の昨年の売上は7700万ドルに達し、2019年の5400万ドルから41%増加したとされる。さらに、今年の売上は前年の約2倍の1億5000万ドルに達し、2025年には10億ドルを超える見通しだ。

ギンコ社は、ロイヤルティや株式投資を通じた長期的な収益に重点を置いている。「当社のビジネスで重要なのは、アプリストアのような収益源を持っていることだ」とケリーは述べた。

ケリーは、今回の調達資金を用いてさらに多くの、生物学を応用してサステナブルな製品を作ろうとしている企業や起業家を呼び込こもうとしている。

「起業家が細胞をプログラムしたいと思ったら、まずは試しにギンコに連絡してみる、というような状況になることを目指している。私たちは、彼らの競合製品を作ったりはしないのだから」とケリーは話した。

ギンコ社は、新型コロナウイルスのワクチンの製造過程でモデルナ社と提携しており、抗生物質ではRoche社と契約を結び、治療薬への注力も進めていく意向だ。

編集=上田裕資 文=Amy Feldman、Alex Knapp

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