経営・戦略

2023.04.17 08:15

CEO意識調査で見えた、日本企業が「変革」に出遅れる理由

今、日本では変革が叫ばれている。

CX(カスタマー・エクスペリエンス)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、HX(ヒューマン・トランスフォーメーション)、D&I X(ダイバーシティ&インクルージョン・トランスフォーメーション)など、「Xの時代」だ。これらの「X」を総合化して変革するのがSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)だろう。

このように「X」が多いのは日本が様々な変革に出遅れたからだ。CEOはこの遅れに危機感を持っているものの、調査ではいまだ受け身的にとらえている姿が浮き彫りになった。これではとても世界で戦えないだろう。

5つのメガトレンドから“変革”を考える

変革への対応について、木村代表は「今目の前にある危機は、より長期的なメガトレンドに起因して顕在化した。その数や破壊力も年々増している」という。メガトレンドとは、「気候変動」「破壊的テクノロジー」「世界秩序の崩壊」「人口構造の変化」「社会の不安定化」の5点だ。

木村代表はメガトレンドの理解について、「次にどのような危機が発生するか予測することは不可能だが、危機がメガトレンドに起因していることを理解すれば、不意を突かれないよう将来に備えることもできる」と考える。この点が重要だ。

「現在の危機がメガトレンドに起因する以上、メガトレンドに起因する問題を悪化させる対応策は必ず失敗に終わる。危機をさらに増やし、メガトレンドによる死活的な脅威の顕在化につながる」(木村)

例えば、欧州における現在のエネルギー危機に対して「ガスの代わりに石炭発電」という対策を講じた場合はどうだろうか。温室効果ガス排出量が増加し、サステナブルな世界への移行完了までに残されたカーボンバジェットの支出が加速してしまう。将来的に、社会はより大きな痛みに苦しむことになりかねない。

ただ、萎縮しすぎないこともコツだという。

「このようなときだからこそ、大きく飛躍するチャンスととらえるべきです。今までにない発想や行動、そしてすべての礎となる信頼を大切にし、変革を通じて持続的な成長を追求していくことが大切です」

文=笹谷秀光 撮影=小田光二

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