宇宙

2023.04.16 14:00

20日は珍しい「金環皆既日食」 日本では部分食に

2017年に米国で撮影された金環食(Jorge Villalba via Getty Images)

2017年に米国で撮影された金環食(Jorge Villalba via Getty Images)

今月20日、オーストラリアや東南アジア、南太平洋などの一部地域で「金環皆既日食」が起きる。3種類の日食がすべて起きる珍しい現象で、「ハイブリッド日食」とも呼ばれている。

日食は、月が太陽と地球の間を通過することで起きるもので、月が太陽光線を遮断する範囲によって、いくつかの種類に分かれる。

最もドラマチックなのが「皆既日食」で、月が太陽を完全に覆い隠し、周囲が一時的にまるで夕暮れのように暗くなり、気温が下がり、動物たち(人間を含む)を驚かせる。

これに対して「部分日食」は、その名の通り、月が太陽の一部分だけを隠すことで起きる。安全に観察する方法を知らないと見過ごしてしまいがちな現象だ。昼間に太陽の半分ほどが隠れても多くの人が気づきすらしないことは、太陽の光がどれほど強烈かを示している。

そして「金環食」は、太陽のほぼ全体が月に隠れるものの、外側部分が月の周囲でわずかに輝き、不気味な「金環(ring of fire)」を作り出す。

基本的に、ある場所でどんな種類の日食を見られるかは、太陽と月、および地球表面上の特定位置の並び方によって決まり、地球の曲率と基礎的な幾何学を組み合わせることによって分かる。

20日の金環皆既日食では、一部地域でこの3種類すべての日食を見ることができる。(訳注:日本では本州南岸の一部地域と南西諸島、小笠原諸島などに限り、部分日食が起きる)


2023年4月20日の日食マップ(NASA)

米航空宇宙局(NASA)の名誉宇宙物理学者で熱烈な日食愛好家でもあるフレッド・エスペナックは「今回のケースに限って言うと、日食の経路は金環日食から始まる」と説明している。「それが次第に皆既日食に変わり、経路が終わる前に再び金環食に戻る」

皆既日食の経路から少しでも外れると、部分日食しか見えない。

もしその日に、このマップ上のどこかへ行く予定の人は、エスペナックのウェブサイト「EclipseWise.com」にあるツールを使えば、特定の場所からどんな日食が見えるかを調べられる。

これは2023年で最初の日食だ。10月にはまた金環食が起きる。1年後の2024年4月には、皆既日食が北米を横断する「Great American Eclipse」(偉大なるアメリカの日食)が起きる。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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