宇宙

2023.04.01

NASAが日食の観測計画を立てるための地図を公開

2023年の金環食と2024年の皆既日食で月の影が通る道を示した地図(NASA'S SCIENTIFIC VISUALIZATION STUDIO)

NASAは、日食マニアが来たる2回の皆既日食(どちらも北米で見ることが可能)を見る場所を決める参考になる新しい高解像度地図を公開した。

そこには、2023年10月と2024年4月、2種類の非常に特徴的な日食が起きるときに、月の影が米国を横断する場所が描かれている。どちらの場合も非常に明瞭な部分日食を北米全体で見られるが、前者は金環食(ring of fire)を、後者はさらに希少な皆既日食を細い帯状の地域で見られる。



どちらの日食を見る場合でも、日食経路の中心近くにいるほど日食は長く続く。それぞれの地図には、場所によって日食がどのくらい続くかを示す白線が表示されている。

この2つの画期的な出来事について知っておくべきことを以下に記す。

2023年10月14日:金環食

ウォーミングアップイベントともいうべき金環食は、実質的には形の良い部分日食だ。だから目を保護するために日食グラスを着用することは極めて重要だ。金環食は、月の見かけ上の大きさが太陽より少し小さくなった(楕円軌道の最も遠い点にいるため)ときに起きる。太陽の中央部分だけが隠されるため「環」のように見える。


日食経路の中心に近いほど日食は長く続く。白線上に書かれた数字が場所ごとに日食を見られる時間を表している。上の地図でネバダ州エルコでは金環食が約4分間続き、ユタ州リッチフィールドでは約4分半続く(NASA/SCIENTIFIC VISUALIZATION STUDIO/MICHALA GARRISON; ECLIPSE CALCULATIONS BY ERNIE WRIGHT, NASA GODDARD SPACE FLIGHT CENTER)

金環食の幅125マイル(約200km)の経路は、オレゴン州からネバダ州、ユタ州、ニューメキシコ州を通ってテキサス州まで続き、最長5分間の金環食が見られる。太陽の90%が月に隠される。

その経路には米国の国立公園がたくさん含まれている。オレゴン州クレーターレイク国立公園、アリゾナ州ブライスキャニオン国立公園、ユタ州キャニオンランズ国立公園などだ。米国を通過した後「金環」はメキシコのユカタン半島、ベリーズ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、コロンビア、ブラジルの各国を訪れる。

2024年4月8日:皆既日食

「金環」を見るのは楽しいが、6カ月後の「Great North American Eclipse」(偉大なるアメリカの日食)と比べるとマイナーなイベントだ。幅100マイル(約160km)の皆既日食経路は広くメキシコ、米国、カナダを横断し、肉眼で見える壮観な皆既日食を最長4分33秒間もたらす。


どちらの日食でも月の影が動くのは速い。地図上の楕円形は地域と時刻ごとの影の位置とかたちを表している。例えば2024年4月8日の皆既日食で、月の影が午後3時10分EDT(東部夏時間)にはオハイオ州デイトンを射し、3時20分EDTにはニューヨーク州バッファローまで移動する(NASA/SCIENTIFIC VISUALIZATION STUDIO/MICHALA GARRISON; ECLIPSE CALCULATIONS BY ERNIE WRIGHT, NASA GODDARD SPACE FLIGHT CENTER)
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翻訳=高橋信夫

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