政治

2023.04.05 12:30

中国は中東における米国の地位を奪いつつある

イラン・アラブ首脳会議

中国は、年内に北京でアラブ・イラン首脳会議を開催する。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(EU大統領)が3月の講演で示した「中国の明確な目標は、中国を中心とした国際秩序に向けた体制変化だ」との見解を浮き彫りにする動きだ。

中国が勝者となるならば、二分化が進むこの世界では、米国は敗者となるに決まっている。

首脳会議開催が発表されたのは、西側の銀行が破綻や経営危機に見舞われ、欧州各国の首都がストライキや暴動で混乱している時期だったため、さほど注目を集めなかった。だがこの一件は、地政学的な地殻変動が急速に進んでおり、中国は独裁的な東側と民主的な西側という線引きに沿った世界の再編成を目指しているという私の考えを裏づけるものである。中国の人々は、イラク侵攻から20年を経て、中東に対する西側の掌握力が決定的に緩んだと感じているかもしれない。中東への干渉が大国の特権であると考えないよう中国は注意したほうがいい。

この新たな連携には、おそらく3つの試練がある。1つは、外交関係の再開によってイランとサウジアラビアの間にどの程度の「雪解け」が生じるかというごくシンプルなものだ。2つめは、これから始まる世界的な景気後退により中東で通貨安がさらに進み、特に石油価格を押し下げることで、地域経済が悪化するかどうかである。

3つめの試練は、イスラエルからもたらされる可能性がある。焦点は、イランが実用化目前の核兵器プログラムの保有に向けて急速に前進している点だ。ウクライナでの戦争でイランは高度な軍事技術生産国として台頭し、今や非常に高い濃縮度(84%)のウランを生産していると認めたことから、核保有国の一歩手前まで迫っていると考えられる。これは、イスラエルや軍事評論家の多くにとって、臨界点をとうに超えたといえるかもしれない。

イスラエル

この点で、ネタニヤフ政権が打ち出した司法制度改革を受けてここ数カ月間イスラエルを大きく揺るがしている抗議デモは、決定的な瞬間に国を混乱に陥れた。これはほぼ完全にネタニヤフが引き起こしたことであり、彼の最大の過ちとなるかもしれない。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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