クリエイターエコノミーの鍵を握る日本発「コミュニティビジネス」の可能性

杉山博一 / OSIRO CEO

2023年、世界はどのように変わっていくのか。Forbes JAPAN 2月号では、日本、そして世界で活躍するさまざまな業界のNo.1に「100の質問」を投げかけた。国際情勢、テクノロジー、ビジネス、金融などの分野で今年の変化予想を大公開。

クリエイターや企業のコミュニティ運営ツールを提供するOSIRO。自身もアーティストとして活動していた経験がある、CEOの杉山博一に聞いた。


私はもともと現代アート画家やデザイナーとして活動していたが、30歳を境に活動をやめて、金融サービス会社の共同創業者や、ニュージーランドのIT企業の日本法人代表を務めた。2017年にアーティストやクリエイターをサポートするプラットフォームとして創業したのがオシロだ。

そういった背景もあり、日本を芸術文化大国にしたいという思いをもつようになった。では、どうすればそれが可能になるのか。日本には、魅力的なクリエイターや表現者がたくさんいるが、その多くが自分のように30歳でやめていく。彼ら、彼女らがやめないで創作活動を続けられる環境があれば、日本がコンテンツビジネスで世界をリードすることは可能だ。

それには金銭的支援と応援団、つまりコミュニティの存在が必要で、しかもどちらかひとつではなく、「お金の介在するコミュニティ」が不可欠になる。このコミュニティの力があまり知られていないことが課題だ。すでにコミュニティがあるのにうまく運営できておらず、ファン同士のつながりも希薄なままの場合も多い。AIやテクノロジーの力を使って、うまく活性化することで、コミュニティは価値共創の素晴らしい場所になるはずだ。

最近、企業のブランドビジネスの観点からもコミュニティビジネスへの関心が高まっており、オシロと凸版印刷など大手企業との資本業務提携も進んでいる。企業のブランドもコミュニティも大切なのは世界観だ。世界中で、人々はますます自分の世界観をシェアできる、より上質なコミュニティのつながりを求めるようになっている。それに応えるサービスがコミュニティビジネスの未来だ。


すぎやま・ひろかず◎1973年、東京都生まれ。アーティストとして活動。32歳で金融サービスを共同創業。退社後、外資系IT企業の日本法人代表に。2017年、オシロを創業。

文= Forbes JAPAN編集部 写真=yOU(河崎夕子)

この記事は 「Forbes JAPAN No.102 2023年2月号(2022/12/23発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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