これはトラピスト1bで私たちの知る何らかのかたちの生命が生き延びられる可能性に対する大きな一撃だ。
トラピスト1のような赤色矮星の近くを周回する、他の多くの地球型惑星と同様、この惑星は地球に対する月と同じく、公転と自転が同期している可能性が高い。それはその惑星が、軸を中心として回転せず、中心星に対して常に同じ面を向けていることを意味している。
それは居住に最も適した環境の条件ではない。しかし、そのような惑星の「ターミネーター(明暗境界線)」つまり昼間側から夜側へと変わる位置付近には生命が存在しうるという考えを支持している科学者もいる。
つまり、非常に忍耐強い地球外生命がトラピスト1bに存在する可能性は、理論的にはまだある。
しかしこの種の恒星を周回する惑星の生命には別のハードルがある。それらの恒星は、太陽のように大きい恒星と比べて、大量の恒星フレアを放出するという実に悪い癖がある。その結果トラピスト1系の惑星は定常的に強い恒星放射を浴びて不毛になる可能性がある。
「天の川銀河にはそのような恒星が、太陽のような恒星より10倍多くあり、太陽のような恒星と比べて地球型惑星を持つ可能性は2倍以上あります」とグリーンは説明した。「しかしその種の恒星は非常に活動的で、若い時は非常に明るく、大気を一掃するようなフレアやX線を放射します」
E.T.がトラピスト1を周っているのを発見する可能性はさておき、この恒星系は観測を練習するすばらしい機会を与えてくれると科学者たちは言っている。
「小さく冷たい恒星を周る地球型惑星の方が解明は簡単です」と論文の共著者で、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)のエルサ・デュクロはいう。「M型矮星系の居住可能性を理解したいなら、トラピスト1系はすばらしい実験室です。地球型惑星の大気を観察するために最適なターゲットです」
(forbes.com 原文)