UNDER 30

2023.03.24

アジア人向けデリバリーで売上260億円 30歳未満の小売起業家たち

GUERIN BLASK FOR FORBES

中国から移住してきたケル「エリック」リュー(27)は、起業家になるつもりはなかったと語る。

しかし、ノッティンガム大学を卒業した彼は、22歳のときに、母国以外の国で利用しやすいアジア料理が不足していることに気づき、英国を拠点とする食品・食料品配送会社HungryPanda(ハングリーパンダ)を設立した。

リューはForbesの取材に対し、「ローカルなプラットフォームで、ユーザーがオーセンティックなアジア料理店を見つけるのは非常に難しいです」と語る。その解決策となったのがHungryPanda。ソフトウェアエンジニアの助けを借りて実現した。

このデリバリー・プラットフォームはアジア人コミュニティ向けに作られている。レストランや商店と提携して、欧米の都市では入手困難な食材や食料品、伝統的な食事を提供。DoorDash(ドアダッシュ)などの業界リーダーをしのぐことを目的としている。

起業から6年。HungryPandaは4大陸10カ国で事業を展開し、これまでに2億2000万ドル(約290億円)の資金を調達。昨年の売上は2億ドル(約260億円)を超えた。

わずか1600円でビジネスを始め4億円に

今年の「30 Under 30ヨーロッパ小売・Eコマース部門」のリストに入ったのは、食品に特化した創業者であるリューだけではない。

完璧な分量のすぐに温めて食べられる食品サブスク会社Simmer(シマー)の共同創業者であるシミー・ディロン(25)とジャイ・ディロン(27)兄弟もだ。わずか12ドル(約1600円)でビジネスを始め、過去2年間で300万ドル(約4億円)近い売上を記録した。

また、カシミール・ロブ(28)とベンジャミン・アーラーズ(29)が共同設立した持続可能な植物性食品配送会社Every(エブリ)は、出来合いのビーガン料理を提供し、これまでに100万食以上を販売している。

Forbesでは、10年近く前から毎年、一般からの推薦を受け、このような若い起業家を「30 Under 30 ヨーロッパ小売・Eコマース部門」リストで取り上げている。今回の候補者は、2023年3月7日時点で30歳未満であり、過去に30 Under 30に選ばれたことがないことが条件だった。

今回の審査員は、メイクアップ&スキンケアブランドBeauty Pie(ビューティ・パイ)の創業者であるマルシア・キルゴア、Cherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)の創業パートナーでオンライン小売業Zalando(ザランドゥ)の共同創業者のフィリップ・デーンズ、配送プラットフォームWolt(ウォルト)の共同創業者で2016年の30 Under 30であるミキ・クウシ、Lego(レゴ)のeコマース担当シニアディレクターのシェーナズ・チェニアだった。

今回選出された30名は、現在、オランダ、スイス、英国、スウェーデン、ドイツ、ベルギー、フランス、ルクセンブルク、ノルウェー、米国、スペインの11カ国に在住している。

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翻訳=上西雄太

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