海外

2023.03.17

イーロン・マスクも登場、スタンフォード大学「起業クラブ」の内側

スタンフォード大学 学生起業クラブASES共同代表のネイサン・ラムさん

起業に際し、卒業生のネットワークにとても助けられました。最初の投資家2人は、ASESの卒業生でしたし、ダメ元で、OBの、YコンビネータCEOギャリー・タンさんに事業アイデアのメールを送ったら、彼は中身を見て、たくさんのフィードバックをくれました。

事業に失敗したら復学も可能

──スタンフォード大学を中退することに迷いはなかったのですか

大学中退者がこれほど集中的に大成功を収める業界は、世界でも他にないでしょう。シリコンバレーでは、中退者であることにも多くの利点があると思います。

また、スタンフォードは卒業時期がとても柔軟で、もし事業が失敗して大学に戻りたくなったら、復学が可能です。こうしたユニークなシステムも、リスクをとる際に背中を押してくれました。事業を進めるうえで、様々な失敗をしていますが、その都度スタンフォードのネットワークが私を支えてくれています。

※この記事はジャーナリスト尾川真一(フルブライト奨学生)とともに取材しました。

取材後記

ASESという団体を何と表現すべきかとても悩みました。「サークル」のような気軽さもあれば「体育会」のような活動量や熱量もあり、OBネットワークを持ち合わせている。学生の起業への「興味」をアクセラレータなど次のステップへと繋げる彼らの活動は、まさにスタートアップエコシステムの屋台骨であり、こうした団体が複数あることこそが、スタンフォードが数々の起業家を輩出する所以だと感じました。(尾川真一)

キャンパスでは「起業する?卒業する?」との会話を聞くことが普通にあります。先日もキャンパスに、スタンフォードを中退し、最年少のビリオネアとして有名なオースティン・ラッセルが来ていました。彼は自動運転に欠かせないライダー装置の最大手企業として今も成長しているルミナー・テクノロジーズの創業CEOです。

「スタンフォードを中退して起業することについてどう思うか?」と問われた彼の答えは「今始めないと遅れるとわかっているなら、始めない理由はない」というものでした。

大学のキャンパスに中退した起業家が来て、大学中退をしてでも起業するべき時について語る。この自由な発言機会、大学の寛容さもまた、起業家が生まれる背景にあるのだと思います。(芦澤美智子)


ネイサン・ラム◎スタンフォード大学学生起業クラブASES共同代表。エンジニアリングスクール学士3年・修士在籍
アクシャヤ・ダナシュ◎スタンフォード大学を2年生で中退し、スペルバウンドを創業。

取材=尾川真一、芦澤美智子 文=尾川真一

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