多くの場合、彼らはスタンフォードの起業家育成のエコシステムや、学生教育に興味を持っていて、「教育のためなら」と優しく手を差し伸べてくれます。また、800人を超えるASESの卒業生や支援者とのネットワークもとても強力です。彼らが起業家を推薦し繋いでくれることもあります。
弁護士や起業家、ベンチャーキャピタリスト(VC)など、第一線で活躍するビジネスパーソンと、「ASES」を通じて繋がることができます。
また、企業と共同のプログラムも開催しています。例えば「ブレイクスルー」というプログラムでは、VCがゲスト講師やメンターとなり、学生たちは、投資の成功や失敗要因学びます。
「VC3」というピッチプログラムでは、シリコンバレーのVCとスタンフォードの起業家をつなぎます。
ASESは学生を起業家の道へ誘う「触媒」
──大学主催の単位取得可能な起業プログラムも充実していますが、違いは何でしょうか。例えば、新事業を生むための教育プログラム「リーン・ローンチパッド」はとても有名ですが、受講可能人数が少なく、必ずしも全ての学生が履修することができません。さらに「リーン・ローンチパッド」を履修するためには、あらかじめビジネス・アイデアやチームができあがっていることが必要です。つまり、応募の段階である程度のビジネスセンスや技術的スキルがあることが前提です。
一方でASESのプログラムは、起業のアイデアや経験をもっていない学生を対象にしています。また、起業の知識を他分野で生かしたいと考えている学生も対象にしています。
我々は、学生たちが起業に関わるきっかけを作る、つまり「触媒」のようなものだと思っています。私たちのプログラムを通して、起業家としての基礎スキルや仲間を得た学生たちが、こうした次のレベルのプログラムに参加しています。
大学を中退し連続起業家へ
一方、ASESのプログラムを契機に、大学を中退し、起業家になった人もいます。アクシャヤ・ダナシュさんもその一人。「スタンフォードを中退なんて」と思うかもしれませんが、彼女はすでに1社目を売却し、2社目を立ち上げている連続起業家です。ダナシュさんにも話を聞いてみました。
──経歴を教えてください
私は「スペルバウンド」という企業の創業者です。ECサイトのアンケートや商品のリコメンドなどのEメールを簡潔かつ魅力的にするサービスを提供しています。私は大学入学時から起業に興味があり、ASESのほかにも複数の起業クラブに参加していましたが、ASESのコミュニティが一番活発で良質なものでした。