3月5日にはフロリダ州、メリーランド州、ルイジアナ州、イリノイ州の4カ所で銃乱射事件が発生し、13人が負傷し、3人が死亡した。これを受け、年初からの銃乱射事件による死者数は149人となり、負傷者数は約400人に達したことがガン・バイオレンス・アーカイブ(GVA)のデータで確認された。
GVAは、2013年から銃乱射事件のデータを収集しており、犯人を含めずに4人以上が死亡もしくは負傷した銃が絡む事件を銃乱射事件と定義している。
昨年の同時期には、69件の銃乱射事件が発生し89人が死亡していた。また、2021年は75件で、78人が死亡していた。
今年に入り最も大きな被害を出した3件の銃乱射事件は、すべて1月に発生していた。そのうちの1つは、カリフォルニア州モントレーパークのダンスホールで12人が死亡した事件で、同じ週にカリフォルニア州ハーフムーンベイの2カ所で66歳の容疑者が7人を殺害していた。
昨年は合計647件の銃乱射事件が発生し、過去10年間で2番目に多い年になっていた。最も多かった2021年には690件が発生し、706人が死亡した。また、2020年には610件が発生し、前年の417件から大幅に増加していた。GVAによると、2018年までの数年間は年間300件台で推移していた。
昨年春には、テキサス州ウバルテの小学校で児童19人と教師2人が射殺された学校銃乱射事件やニューヨーク州バッファローの食料品店の銃乱射事件など、大規模な銃乱射事件が相次ぎ、米議会は6月に、数十年ぶりに銃規制を強化する法案を可決した。
「超党派コミュニテイー安全確保法(Bipartisan Safer Communities Act)」と呼ばれるこの法案には、21歳未満の銃購入希望者に対する身元調査の強化や、危険人物と見なした人物から銃器を取り上げることができる「レッドフラッグ法」の全州での制定や法執行に向けた、5年間で7億5000万ドル(約1000億円)の財政支出などが盛り込まれた。
しかし、7月に下院を通過したアサルトウェポン(殺傷能力の高い攻撃用銃器)を禁止する法案は、自衛のための武器を米国人から奪うことになると主張する共和党の反発によって上院で否決された。
最近のいくつかの研究で、銃規制の強化が銃暴力の発生率の低下につながることが示されている。銃規制を訴える団体Everytown for Gun Safetyによる2022年1月の調査では、ミシシッピ、アーカンソー、アイダホ、ジョージアなどの銃規制が緩い14州では、銃規制が最も厳しいカリフォルニア、ニューヨーク、ハワイ、ニュージャージーを含む8州と比べて、銃による死亡者数が3倍近くに達していた。
また、ピュー研究所が発表した2020年のデータによると、銃による死亡率が最も高い州はミシシッピ(人口10万人あたり28.6人)、ルイジアナ(同26.3人)、ワイオミング(同25.9人)で、最も低い州はハワイ(同3.4人)、マサチューセッツ(同3.7人)とされていた。
(forbes.com 原文)