Twitterはバズの概念を生み、YouTube、Instagram、TikTokは、顔出しで有名になることを可能にした。いまでは誰もが情報の伝え手になれる一方で、さらし上げのような行為も横行していて、Z世代ほど、その功罪に敏感だといえる。
だからこそ、情報の拡散がクローズドで、機能もある程度限定的で、知っている人だけでつながれるというmixiの「レトロ」さが支持されているわけだ。実際、Z世代にはさまざまなレトロカルチャーが新鮮なものとして再受容されている。
mixi上ではさまざまなコミュニティが展開されている。既存のSNSと比べるとUIがシンプルで機能も限定的だ。
SNSにも「2拠点生活」を
ここまでの理由以外にも、やや意識の高い論調としては、既存のSNSが内包する情報セキュリティのリスクや、GAFAのような巨大プラットフォーム参加への見直し意識から、元祖・国産SNSに良さを見出すということもあるだろう。それらから考えるべきポイントは、ユーザーは時に相反するように見えるニーズを持っているということだ。スペックが高く便利で他者とつながりやすいオープンなサービスも欲しい一方で、そうではない安心感の保たれたクローズドなサービスも求めている。
ところで、コロナ禍でクローズアップされた考え方に「2拠点生活」というものがある。進化したITツールをフル活用して、都会と地方のいいところ取りをした生活を送ろうというスタイルだ。
その考え方はSNSとの向き合い方にも応用することができるのではないか?
都会のように情報がファストに行き交い、新しいつながりがガンガン生まれる刺激の多いSNSもあれば、地方のように心理的安全性が保たれた人間関係の中でスローなコミュニケーションを交わして充足するコミュニティベースなSNSもある。
これは優劣をつけるのではなく、どちらにも別の長所が存在するということを意味する。mixiの再流行は、古いサービスから新しいサービスに乗り換えるといった単線的なものの見方では成立しない、生活者の価値観やニーズを読み解く好例となるだろう。その意味で「SNS 2拠点生活」は正しいチョイスなのだ。