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2023.03.04 13:00

会話型AIに「人間の顔」を与えるAPI、イスラエル企業が提供開始

shutterstock

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テルアビブに拠点を置くD-IDは3月1日、バルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレス(MWC)の会場で、人工知能(AI)とのフェイス・トゥ・フェイスの会話を可能にする「AIデジタルヒューマン」のAPIを発表した。同社は、ChatGPTを筆頭とするジェネレーティブAIの次のステージを切り開こうとしている。

D-IDの共同創業者でCEOのギル・ペリーは「当社はAIチャットボットに顔を与える」と述べ、同社のテクノロジーが大規模言語モデルを補完していくものだと説明した。

D-IDのジェネレーティブAIに基づく動画プラットフォームでは、すでに1億1000万本以上の動画が作成されている。同社はまた、先祖の肖像写真をディープラーニング技術でリアルに動かせるテクノロジーの「デイープノスタルジア(Deep Nostalgia)」でも注目されている。

さらに、同社が昨年末にリリースしたテキストを打ち込むことで、アバターやアニメーションを作成できるプラットフォームの「Creative Reality Studio」も人気を博している。

そして今、D-IDはチャットボットとの会話をまったく新しいレベルに引き上げようとしている。開発者や企業は、同社のプラットフォームを用いてより人間らしく、魅力的な会話が行えるデジタルアシスタントを作成できる。



調査企業ガートナーは、2027年までにチャットボットが約4分の1の組織で主要な顧客サービスチャネルになると予測している。人手不足と労働市場の逼迫により、世界中の企業がチャットボットへの投資を増やしている。

「テキストベースのチャットは、いずれ時代遅れなものになる。新しいガジェットのセットアップに困った場合は、人間のように話すAIエージェントに手伝ってもらうほうが快適なはずだ」とペリーはいう。

創業者はイスラエル国防軍出身

D-IDは、AIデジタルヒューマンのAPIを企業に提供するだけでなく、3つのオプションで企業の大規模言語モデルの利用を支援するという。その1つはGPT-3などの既存の言語モデルに安全措置を盛り込むことで、もう1つは、特定のニーズに合わせたデータで既存のモデルをトレーニングすること。さらに、Q&Aなどの作成に自然言語処理(NLP)を用いるオプションがあるという。

2017年にイスラエル国防軍(IDF)の諜報部隊出身のペリーらが設立したD-IDは当初、プライバシー保護にフォーカスする企業として設立された企業で、D-IDという社名は匿名化(de-identification)を意味している。彼らは「顔に関連するディープラーニングとコンピュータビジョン」について世界で最も多くの専門知識を持つ人々をアドバイザリーボードに招き入れ、顔写真を匿名化する技術を確立した。

D-IDは、AIの責任ある使用に取り組んでいる非営利団体の「パートナーシップ・オン・AI(PAI)」が先日発表した、ジェネレーティブAIの適正な利用を目指すフレームワークに、アドビやBBC、OpenAIらと並んで参加している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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