建築を学び日本酒の世界へ 永井酒造六代目蔵元の挑戦

永井酒造代表取締役 永井則吉

永井:日本酒はやっぱり五感で味わうものなので、フランス人とタイアップしてデザインしたAWA SAKE専用のグラスを作ったんです。日本の切子職人による手彫りのグラスです。泡にストレスをかけない丸型で、底に形づくったVラインが均衡の取れた渦をつくり、美しく泡立つデザインになっています。

中道:すごく綺麗ですね。口当たりは甘いんですね。

永井:米の甘さです。酸味はワインの5分の1ぐらいです。

中道:口の中にパーっと甘みが広がって、最後に旨みが残る。この繊細さは日本人の良い部分というか。

永井: 2008年にスパークリング日本酒を完成させて、最初は永井酒造1社でやっていたんです。それで数万本売れたんですけど、思ったように広がらなくて。

そのころ東京オリンピックの話が出てきて、スパークリング日本酒はおもてなしの役割ができるんじゃないかと考え、スパークリング日本酒のチームジャパンとしてAWA SAKE協会を立ち上げました。国税局と相談しながらスパークリング日本酒の明確な基準をつくり、その基準をクリアすればAWA SAKE認定酒として販売できる仕組もつくりました。

中道:世界に対するアクションはもうやられているんですか。

永井:Kura Master(クラマスター)というフランス人主催の日本酒コンクールにAWA SAKEをコミットしています。彼らは、日本酒はもっと世界で認められるべきだと考えています。

彼らが言うには、実はワインに合わない料理があって、それには日本酒がすごく合うそうです。そこで自分たちの基準で日本酒を選ぶためクラマスターを作った。彼らはすごく日本酒をリスペクトしてくれていて、日本酒は深い文化性やクオリティの高さ、繊細で透明感のあるピュア感を持っていると。特にAWA SAKEはシャンパンにはないポテンシャルがあると評価してくれました。

中道:後半では今後に向けてのお話など、お聞かせいただければと思います。

中道大輔(左)と永井則吉(右)

中道大輔(左)と永井則吉(右)

文=久野照美 編集=鈴木 奈央

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