サービス

2023.03.06

ヤフーニュースの悪質コメントが半減、効果的な施策とは

Getty image

どこのニュースサイトでも悪質なコメントの対応に苦慮しているところですが、昨年11月にYahoo!ニュースの記事へのコメントを投稿する際に携帯電話番号の設定を必須化したYahoo! Japanでは、悪質なユーザーの数を56パーセント減らすことに成功しました。

悪質な投稿を繰り返すユーザーに対処するために、Yahoo!ニュースでは2018年から、そうしたユーザーの投稿を停止する措置をとってきました。さらに2020年、
投稿停止措置を受けたユーザーは、同じ携帯電話番号のIDからの投稿が制限されるという、もう一段階厳しい措置を実施しています。しかし、ユーザーIDの携帯電話番号の登録は任意であるため、別のIDを取得すればまた不適切投稿を繰り返せるという「抜け穴」がありました。

そこで昨年11月15日より、IDに携帯電話番号を登録していないユーザーはコメントの投稿ができないというルールを追加しました。ニュースにコメントしようとすると、その旨を伝えるメッセージが現れます。

さてその効果ですが、悪質ユーザーの数が、昨年10月の平均に対して、昨年12月と今年1月の平均で56パーセントも減少しました。また、不適切だと判断された投稿に対する注意メッセージの表示回数、つまり不適切コメントの数が同時期の平均で22パーセント減りました。

22パーセントは少ないように見えますが、Yahoo!ニュースでは2020年から、コメントポリシーに違反する投稿を繰り返す投稿者に対して内容の再考を促すメッセージを提示するようにしたところ、その後の4カ月間で、投稿ユーザー数が増加したにも関わらず、対策前に比べて不適切コメントの数を13.5パーセント減少させています。このように、以前にも数々の対策を通じて、少しずつ効果をあげてきたというわけです。

「コメント欄で投稿される多様な考えや意見によって、ユーザーがニュースに対する興味や多角的な視点を持つきっかけ」を提供し、「日本のインターネットにおける健全な言論空間」を構築するという理念を掲げるYahoo!ニュースならずとも、言論の自由という観点からすると「不適切」な投稿の扱いは慎重にならざるを得ません。また、どうしても心ない投稿をする人はいます。ならばコメントを受け取る側が、不適切投稿に惑わされない情報リテラシーを身につけ、大局的な目線で接することも強力な対策のひとつとなるでしょう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

ForbesBrandVoice

人気記事