二宮尊徳が説いた「サステナビリティ」──経済なき道徳は寝言

Getty Images

「それこそ明日から無料にしてもいいんですよ。でも、それをやったら3年後、5年後、全店舗が商売できなくなります。我々は30年後も50年後も100年後もみなさんの事業の成長成功を実現するためのプラットフォームを作る。それくらいの覚悟でやっているんです。だから当然、利益は出さないといけない」(引用元:『突き抜けろ 三木谷浩史と楽天、25年の軌跡』(幻冬舎))

利益を出すことが、長い目でWin-Winとなる。より大きなナラティブを伝えた結果、従量課金が理由の退店は全5000店舗中、39店舗に留まりました。その後のEC事業の発展はみなさんがご存じのとおりです。大きく稼ぐことで、大きく社会を変えられるのです。

企業がサステナビリティ(持続可能性)を考えるとき、「社会の持続可能性」と「事業の持続可能性」の両方を満たすものを重視して行わなければなりません。

ナラティブを作る時、常に問いかけるべきこと

ナラティブを作るときも、社会の持続可能性への貢献や責任だけを強調するのではダメ。それを実行する企業が持続可能であるために利益が必要だとわかるよう、注意深く設計しなければ、単なる「きれいごと」になってしまいます。「きれいごと」に冷めた目を向けるのは、投資家だけでなく、従業員であることもあります。

これは事業を通じて社会課題を解決する「攻めのサステナビリティ」だけでなく、事業にともなう環境負荷などを減らす「守りのサステナビリティ」でも同様です。たとえば事業遂行で発生する有害物質や炭素排出を減少させれば、将来の事業リスクを低減させることになる。企業価値にプラスの影響を与えられます(DCF法で企業価値を算出する場合は、割引率が小さくなります)。

「企業価値に効くサステナビリティ」を社内外とも腹落ちさせるナラティブをつくれば、より強い求心力を発揮できるでしょう。

そのために、ナラティブを作る際には、常に次のような問いを立てましょう。

「そのサステナビリティは、社会のサステナビリティと、わが社のサステナビリティの両方を満たしますか?」

ForbesBrandVoice

人気記事