この調査では、離婚経験者と、離別または死別の経験のない既婚者が対象になっています。注目すべきは、未成年のころに家庭環境について不満や問題を感じていたかという設問に対する回答です。離婚経験者では、「あてはまる」と「ややあてはまる」が合計で55.9パーセント。反対に、3年以上の既婚者の場合は32.2パーセントと低く、反対に「あてはまらない」と「あまりあてはまらない」が合わせて5割弱と多くなっています。
また、未成年期の両親の夫婦仲について尋ねると、3年以上の既婚者は「良好」が56.5パーセント、離婚経験者は38.5パーセントと開きがありました。夫婦仲が悪かった、どちらかが精神的または身体的暴力を振るっていたと答えた割合も、離婚経験者が既婚者よりもすべてで上回っています。
離婚の原因は、トップが「性格の不一致」で45.3パーセント。金銭問題、異性関係などのトラブルはぐっと減ります。このことから、両親の夫婦関係に起因する精神的な問題により、良好な夫婦関係が築けていない場合が多いことがわかります。
三凜さとし氏はこれを、精神科医エリック・バーン博士の「子どもは親のテープレコーダー」という言葉を引用して解説しています。子どものころに見聞きした不仲な両親の言動が自分の常識となり、自分が結婚してからそれと同じことをしてしまうため、夫婦関係がうまくいかなかくなるとのことです。
また、そうした家庭環境で育った子どもは「自分は大切にされてない」と感じます。そうして愛情に不足を持ったまま大人になるため、パートナーに自分を愛してくれなかった親を「投影」してしまい、相手に不満を抱くのだといいます。三凜氏はこれを「インナーチャイルド」という精神状態と結び付けています。子どものころに負った心の傷が原因で、部分的に精神が成長できずにいる「内なる子ども」を抱えた状態です。インナーチャイルドは大人になっても克服できると三凜氏は言います。内なる子どもを癒して「投影」を解消すれば、離婚を回避できるかもしれません。その方法として、同氏は次の3つのエクササイズを提唱しています。
1. 当時の気持ちを紙に書き出す。
2. その気持ちを抱えていた子どものころの自分を目の前にイメージする。
3. イメージの中の子どもの自分を抱きしめ、愛情を伝える。
この方法で実際にパートナーに親を投影することがなくなり、「家庭内の不要ないざこざが減少した」という声が三凜氏のもとへ複数寄せられているとのことです。
また、関係が良好なカップルや夫婦と家族ぐるみの付き合いをするのも有効だと同氏は言います。人は周囲の人から大きな影響を受けると、ハーバード大学の研究などで知られています。仲のいいカップルの言動や行動パターンを見ることで、自分もそれを真似するようになり、親から受け継いだ夫婦観が書き換わるのだそうです。
もし、性格の不一致による離婚を考えているのなら、以上のことをちょっと考えてみてはどうでしょう。
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