クルーズは、その後もサンフランシスコで車両の開発と検証のみを行っているが、Zooxはロボタクシーを従業員向けの送迎サービスに活用している。2014年に設立のZooxが自社開発した4人乗りのコンパクトな電動式車両は、座席がすべて車両の中心を向いている点が特徴だ。
クルーズのOriginとは異なり、Zooxの車両は前後の区別が存在しないシンメトリーな構造になっている。車体のメインフレームはイタリアのCPCグループが製造したカーボンファイバー製のもので、バッテリーはコンピュータユニットとともに車体の下部に格納されている。ドライブユニットやサスペンションは、ドイツの自動車部品メーカーZFから提供を受けている。
Zooxは、数年前からクローズな施設でロボタクシーのテストを行い、連邦自動車安全基準(FMVSS)に合格するための衝突実験などを行ってきた。同社の車両は、クルーズのOriginと同様に、ハンドルやブレーキなどの人間のドライバーのための装備を一切備えていない。
米国道路交通安全局(NHTSA)は、このような車両向けのFMVSSのアップデートをまだ発表しておらず、クルーズの場合は、一時的な免除を認める通知を待っている状態だ。しかし、Zooxのアイシャ・エバンスCEOは、当局や法律顧問と相談した結果、同社の車両を公道に配備するためのNHTSAからの免除や除外が必要ではないと判断したとブリーフィングで説明した。
Zooxは、このロボタクシー車両を使って、フォスターシティにある約1マイル(約1.6キロ)離れた2つの施設間の従業員の送迎を始めている。一方でクルーズは、Originに従業員などの乗客を乗せるサービスは行っておらず、エンジニアのみを乗せている。
NHTSAやFMVSSの完全な承認が得られれば、Zooxはまずラスベガスで最初のロボタクシーの試験サービスを開始し、その後はサンフランシスコと親会社であるAmazon(アマゾン)が本社を置くシアトルに広げていく予定という。Zooxは、将来的にアマゾンの配送向けにロッカーを搭載した車両を展開する可能性もあるという。
(forbes.com 原文)