起業家

2023.02.21

年の差44歳。中学生起業家と社外取締役の「盗み合う関係」

レオス・キャピタルワークス会長兼社長の藤野英人(左)とレウォン(撮影=曽川拓哉)

藤野:彼のお母さんも交えた3人で、山形県や千葉県に合宿にも行きましたね。道中の電車で、仕事からプライベートまで話が盛り上がって、後ろのお客さんに「うるさいよ」って怒られたことが忘れられません(笑)。
 
大事にしているのはフラットな関係です。なので、レウォンさんに対しても基本的には「さん」付けです。
 
毎日、メッセンジャーでやりとりをしていますが、彼は僕の意見でわからないことがあると「?」がたくさん並ぶスタンプを送ってきます。わからないことはわからないと。
 
レウォン:小さい頃から、良くも悪くも自分は素直すぎるところがあると思っています。疑問があったらすぐに聞きたくなるし、自分が嫌なことは我慢できない。
 
小学生の頃、授業では、自分なりに工夫したノートを書くのが大好きでした。しかし、4年生の時に先生から「板書通りに直しなさい」と怒られたんです。自分の頭で考えて答えても、教科書と違う事を言うと取り合ってもらえなくなりました。教科書を読むだけの授業にも違和感を抱くようになりました。そういう出来事が重なって、学校に対する疑問を感じるようになりました。
 
僕はおかしいと思ったことを放っておけない。体調も悪化するようになり、学校へ行けなくなりました。

互いに盗み合う関係性

──そんな辛い過去があるんですね。ただ自分の居場所を変えることで藤野さんのような大人に出会えるようになりましたね。
 
レウォン:そうですね。いまのような生活は想像もしていませんでした。毎日のように出会いがあり、考え方が変わることの「嵐」です。藤野さんとのチャットでは、僕が見えている世界とは次元の違うアドバイスや学びを得ることができ、固定概念が取り払われていく感じがします。
 
藤野:彼と話をしていて、僕自身も自分の偏見に気づいて考えを修正することがあります。8割から9割はお互い納得して会話が進みますが、時々価値観にズレが生じることもある。彼の疑問や違和感を大切にして、彼との間にある常識の差を認識することで、僕自身も成長できます。
 
レウォン:その残りの1割から2割で話がワッと広がります。そこで質問や意見を交わしていくと、いろいろな気づきが生まれて「藤野さん、やば!」ってメッセージを送るんです(笑)。


 
藤野:僕はレウォンさんを通して成長し、逆にレウォンさんは僕の経験や情報、ネットワークを活用していく。互いに盗み合う関係性です。
 
レウォン:そういうフラットなコミュニケーションをしてもらえるから、僕が素直に感じる違和感や疑問も大事なんだって思えます。話しているうちにイノベーションが起きていて、自分の考え方が新しくなっていくのが楽しいです。
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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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