AIの導入を急ぐ大手企業がターゲット
「これまでは、一部の開発者しか機械学習の必要性を理解していなかった。しかし、今ではその上司やそのまた上司がデモを見て、『我々も導入するべきだ』と言い始めている」と彼はいう。企業では、突如としてデータベースをさまざまなAI機能に接続する作業が増え、データチームが対応できなくなってきている。トーレスとキャリガンは、MindsDBを導入すれば、既存のスタッフでボトルネックを解消できると考えている。「開発者は、専門知識がなくても機械学習エンジニアになれる」とトーレスは話す。
MindsDBは、オープンソースライブラリの「Hugging Face」やGPT-3、DALL-EなどのOpenAI製のツールをはじめとするテクノロジーとデータベースとの統合を70以上行っており、数多く存在するAIスタートアップの中でも際立った存在だとベンチマークは考えている。
「彼らは早い段階から問題を認識しており、今では技術が非常に洗練されている」とプッタグンタはいう。彼によると、現在のMindsDBはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の最初の5年間に似ているという。AWSは、クラウドコンピューティングが注目を集める前からひっそりと製品開発を続け、優位性を構築することに成功した。
MindsDBとベンチマークは、企業によるAI導入が活発になり始めた2022年11月に資金調達に合意した。キャリガンは、今回の調達によって商業化への取り組みを強化し、従業員数を現状の22名から年末までに40名に近づける計画だ。同社は現在、5大銀行や、世界最大手級のエレクトロニクスメーカーなどの大手企業と非公開で取引をしているという。
「これらの企業には、開発者が1万人いたとしても、機械学習のエンジニアは300人程度しかいない。我々の製品を導入することで、すべての開発者が機械学習もできるようになる」と、キャリガンは話す。
MindsDBは、大手企業だけでなく、AIネイティブなスタートアップも顧客に取り込みたい考えだ。「セールスフォースの時代が終焉するとは言いたくないが、今後の1~2年の間に自宅のガレージでAIを一からCRMに組み込んだ若手起業家が、大勢出てくることは間違いない」とトーレスは語った。
(forbes.com 原文)