ChatGPTとOpenAIはウェブ上のデジタル体験の未来を変える
マイクロソフトによれば、Bingの新バージョンは、現在一般に使われているChatGPTよりもさらに強力な次世代OpenAI大規模言語モデル上で動作し、検索の力を最適化するために特別にカスタマイズされているとのことだ。OpenAIの新モデルは、ChatGPTとGPT-3.5からの学習結果を利用して、さらに高速かつ高精度な技術を実現している。マイクロソフトが「プロメテウスモデル」と呼ぶ手法を採用することにより、Bingの検索機能は、より適切で的を絞った結果を生み出すとともに、より安全・安心な機能を備えている。プロメテウスモデル内の複数のレイヤーにより、多くの人が懸念しているAIの安全かつ倫理的な利用が実現される。マイクロソフトは、AIモデルを検索アルゴリズムのコアに適用することで、検索順位の適切性が過去20年間で最大になったという。また、検索だけでなく、チャットやコンテンツ作成なども含まれるため、ウェブとの全く新しい「関わり方」を生み出すことを想定しているのだ。
ChatGPTとBingが起こす検索ビジネスの変化
この20年間、検索の仕方にほとんど変化はなかった。Google(グーグル)はこれまで市場シェアの大半を占めており、目立った変化を起こす理由はあまりなかった。ほとんどの場合、ユーザーは自分が探している結果が得られない場合には、検索クエリを自ら調整してきた。しかし、それがすべて変わろうとしている。AIがその未来を生み出す。Bingが世界の検索市場の10%未満であることを考えると、マイクロソフトが次世代検索でより大きなプレーヤーになることを望んでいることは明らかで、OpenAIがその助けとなることも明らかだ。そして、ほんのわずかな変化だけでも、マイクロソフトにとっては大きな収穫となる可能性がある。実際、マイクロソフトの投資家向け会議では、市場シェアの1%が平均20億ドル(約2630億円)の年間収益に相当することが紹介された。つまり、市場シェアが10%上がれば、200億ドル(約2兆6300億円)以上の収益が得られるということだ。これは同社にとって大きな飛躍であり、多くの株主が望んでいることだろう。
マイクロソフトは今回の発表で、間違いなく検索業界に圧力をかけた。グーグルは、独自のAI生成チャットボットBard(バード)を発表したが、これは近日中に利用可能になる予定だ。グーグル自身もBard公開への道を粛々と進めていたことは確かだが、マイクロソフトが新しいBingとウェブブラウザのEdge(エッジ)を提供して市場に投入するスピードが背中を押した。グーグルが、ユーザーが検索とウェブ閲覧の体験を改善するためにどのようにジェネレーティブAIを使えるようにするかを示す計画を、想定よりも早く発表させたのだ。