昨年の会場でもBeyond the beyondを体験している森氏であるが、その進化について次のように語った。
「昨年と比べこんなにもスタイルが違うということに驚きました。香りがさらに開いており、白桃やアプリコットを思わせるフルーツの芳醇なアロマが広がり、奥行きがある印象。口に含むとやわらかくしなやかで、軽やかなアタックと思いきや、中盤からふくよかなボリューム感へと繋がり、余韻も長い。それは紛れもなく原料米の違いと生産者の技術の賜物によるものです。思い出に残る素晴らしいお酒を体験できたことに感謝です」
変化を恐れず世界に挑戦する
このコンテストを始めた目的について、桜井会長は「農家の方に夢をもってもらいたいという思いではじめました。でも逆に、素晴らしい生産者の方にお会いできる機会を得て、我々が夢をもらったんです」と話す。「出品されたお米はみな精魂込めて作られていて、どれも素晴らしいものでした。これだけの米をいただいたのだから、良い酒を造らなければ酒蔵とは言えません。責任をもって米に値する酒を造り、日本酒を待っている世界の人たちに届けたいです」
今後の展望について桜井社長は、「このプロジェクトは4回目になりますが、最低でも10年は続けていこうと決めています。私達がやるべきことは、良い酒を造って世界に挑戦していくこと。それがまた日本の需要にも繋がっていくのではないでしょうか。いまや日本食は日本だけのものではなく、世界の中で磨かれ進化しています。世界の飲食シーンは影響しあって変わっていくものですから、日本酒も変化を恐れない挑戦が必要なのです」と力強く語った。
酒米をつくる栽培農家、それを醸す酒蔵、そして商品を消費者に届けるソムリエ。それぞれの努力と想いが三位一体となり、世界に視野を広げ挑戦することで、はじめて最高を超える日本酒が誕生する。2022年の優勝米で醸すBeyond the Beyond 2023は、どのように磨かれ、どこを旅して、世界にどのような影響をもたらすのだろうか。