東京で死ぬまでに一度は食べたい。日本最古の居酒屋の「至極の料理」

創業120年。入り口のちょうちんには「どぜう」の文字がゆらめく

*本稿は、徳間書店の運営する美食と酒の悦楽探求WEBマガジン「食楽web」から一部を編集しての転載である。


月曜の夕暮れ、オープン5分前というのに早くも10人ほどの行列が。日本最古の居酒屋といわれる『みますや』です。東京・神田駅から徒歩8分、小川町駅や淡路町駅から徒歩3分ほど。創業は1905(明治38)年。夏目漱石が『吾輩は猫である』を発表し、日露戦争が終結した年です。もうこの店構えがたまりませんよね。

創業当時の建物は、1923(大正12)年の関東大震災で焼失してしまったそうで、現在の建物は1928(昭和3)年に建てたものだそうです。

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この明かりがいい雰囲気

外観こそ経年の味わいを感じますが、店内は清潔で凛とした雰囲気。想像していたよりもずっと広々しています(写真には写っていませんが、奥に同じくらいの広さのテーブル席、お座敷があります)。飴色の電灯の光もいい感じ。

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筆文字のメニューも渋くてイイ


『みますや』には名物料理がたくさんありますが、まず食べてみたい逸品が、名物の「どぜう丸煮」700円(価格は2022年10月9日時点)。

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神田『みますや』の「どぜう丸煮」

どじょうを開かずに丸ごと煮込む“丸煮”は、江戸時代に生まれた調理法で、東京の郷土料理として愛されてきたそうです。下町・神田らしい一皿というわけですね。それではいざ実食!

甘じょっぱいどじょうが日本酒に合いすぎる


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頭からツルッといきたい

注文からそれほど待たずに運ばれてきた「どぜう丸煮」。中くらいの鉢にたっぷりのどじょう、一緒に煮込まれた薄切りのゴボウ、そして卵、ネギが入っています。頭からしっぽまでまるごといただきます。甘じょっぱいお味がどじょうにしっかりと染み込んでいるので、臭みや泥臭さはまったくありません。ツルッとした食感の中に小骨のコリッとした歯ごたえがたまらない…!

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辛口の燗酒とどじょうのマリアージュの素晴らしさに感激。燗酒以外にも冷酒、焼酎(多種)、ビール、サワー、ワイン、ウイスキーが揃っています

そして、どじょうの濃いめの味や肝の淡い苦味は日本酒にぴったり! 日本酒は常時15種ほど置いていますが、今回頼んだのは燗酒「白鷹」450円。みますやオリジナルのとっくりがかわいらしいですね。どじょうとの相性が良すぎてどんどん進んじゃいます。
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取材・文=松みのり

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