食&酒

2023.02.19 12:30

「最高を超える山田錦」にかける旭酒造、世界への挑戦

今回の表彰式では、その「Beyond the Beyond」を体験・販売した経験を持ち、世界を舞台に活躍する5名のゲストソムリエから、貴重なテイスティングコメントや販売時の体験談、今後の日本酒業界に対しての展望が述べられた。

世界の主要都市に店舗を持つ創作高級日本食レストラン『Zuma』ドバイにて、ヘッドサケソムリエ・ミドルイーストとして勤務している浜田竜二氏。彼は昨今の日本酒需要について「どこまで伸びるのか不安にさえなるくらい増加しています」と話す。



世界を飛び回る超富裕層を顧客に持ち、Beyond the Beyond 2020を世界で初めて販売した実績を持つ浜田氏によると、「もっともゲストが共感するのは日本酒の背景にあるストーリー」だという。「これからも日本酒の素晴らしさを伝えるために、栽培農家や酒蔵のストーリーをしっかり伝えて、その価値を更に高めていきたい」と意気込む。


マクシム・ティリオン氏は2012年にロンドンに開業した『Hedonism Wines』で日本酒とワイン及びスピリッツのエキスパートとして勤務しているが、同店もまたBeyond the Beyond 2020の販売実績を持っている。

「日本酒の普及活動に勤めているエデュケーターのおかげもあって、店舗での日本酒の取り扱いは4倍、特に獺祭の売り上げは8倍になっています」と獺祭人気にも言及。「Beyond the Beyondはもちろん素晴らしい味わいなのですが、美味しさ以上に栽培農家や酒蔵のクラフトマンシップについて、更にはこのコンペティションや希少性の高さについて、顧客に伝えることが大切だと思う」と続けた。


フォーブストラベルガイドで4つ星を獲得したラスベガスの高級日本食レストラン『MIZUMI』で、ワインと日本酒のソムリエとして勤務しているアーロン・ベック氏。彼もまた「店舗での日本酒の売り上げが飛躍的に伸びていますが、それを引き上げているのはまさにBeyond the Beyondのようなプレステージ日本酒です」と断言する。

艶やかなカジノリゾートを舞台に3本のBeyond the Beyondの完売という実績を持つ彼は「Beyond the Beyondを味わうと、良い酒は良い米から造られるのだということを実感します。努力を重ね、素晴らしい米を作り続けている栽培農家の方々を尊敬すると共に、彼らに感謝しています」と謙虚に賛辞を述べた。


ニューヨークとワシントンDC(今年ロサンゼルスに3店舗目をオープン予定)でミシュラン一つ星を長年獲得している寿司店『Sushi Nakazawa』のビバレッジディレクターであるディーン・フエルス氏。「ここまで我々の店舗展開が可能となっているのは、日本酒の需要によるものも大きい」と話す彼は、昨年度の優勝米で作ったBeyond the Beyond 2022をサザビーズオークションで過去最高額で落札した張本人でもある。

そこまで彼を虜にするBeyond the Beyondの味わいについては「デリケートでフローラル、グリーンメロンやビターシトラスのニュアンス、さらには米らしい旨みも持ちあわせた美しい酒」と語る。「柚子胡椒やシトラスフレーバーをあしらったホタテ、アオリイカ、車海老などを合わせて楽しみたい」とペアリングのアイデアも披露した。
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文=瀬川あずさ

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