Web3のパイオニア「プロトコルラボ」が全社員の5分の1を削減

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Web3の初期のパイオニア企業の1社である「Protocol Labs(プロトコルラボ)」が、全社員の5分の1以上にあたる89人を解雇したことがフォーブスが入手した書類で確認された。この書類は、匿名を希望する解雇された従業員の1人から提供された。同社の人員削減は、2022年に2万6000人以上が解雇された暗号資産業界における、人員削減のプレッシャーの高まりを示している。

プロトコルラボは、2017年のICOブームの中で「ファイルコイン(FIL)」を立ち上げ、当時としては記録的な2億500万ドル(約269億円)を調達していた。このうち5200万ドル(約69億円)は、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)やセコイヤキャピタル、ユニオンスクエア・ベンチャーズなどへのプレセールで調達した資金だった。

ファイルコインは、IPFSと呼ばれる分散型ネットワークのユーザー同士が、ストレージの貸し借りを行う際に使用するトークンとして開発された。CoinMarketCapのデータで、ファイルコインの価格は現在約5.63ドルで時価総額は21億ドル(約2777億円)とされている。

フォーブスが確認した書類によると、解雇された従業員の一部は「ガーデンリーブ」を適用され、2月3日の最終勤務日以降も給与が支払われるという。さらに、COBRA法に基づく健康保険給付や移民支援、就職支援などの継続的支援が受けられる。

元従業員向けのFAQの文書には、「当社のチームの多くの貴重なメンバーを手放すという決定は、現在の市場の状況と当社が直面しているマクロ経済の課題、特にファイルコインが置かれた状況によるものだ」と記されている。

プロトコルラボのCEOのファン・ベネットは、「高金利につながるインフレの高まりが、暗号資産の冬を悪化させ、当初の予想よりも長引かせる可能性がある」とブログに書き、「ときには厳しい挫折に直面することもあるが、我々は前進する」と付け加えた。

プロトコルラボは、Google(グーグル)やAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)などの大手が提供するクラウドサービスに、分散型テクノロジーで戦いを挑むポジションをとってきた。同社が開発した分散型プロトコルのIPFSは、多くのNFTクリエイターがデジタル資産に紐づく画像ファイルを保存するために使用している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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