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2023.02.03

自動操縦の電動プロペラ機で「物流革命」起こすPykaの挑戦

Getty Images

他の航空スタートアップも貨物市場に注力

他の多くのスタートアップも、旅客機を最終目標として、まずは貨物市場をターゲットにしている。バーモント州のベータ・テクノロジーズ(Beta Technologies)は、ヘリコプターのように垂直に離着陸できる機体をUPSに売り込み、2024年に市場に投入するための認可を得ようとしている。

サンフランシスコのエルロイ・エア(Elroy Air)は、フェデックスらを顧客とする電動貨物機を開発し、ダラスで試験飛行を計画中だ。ベイエリアのスタートアップのXwing(エックスウィング)は、セスナのキャラバンのような既存の小型飛行機を自律飛行式に改造するためのテクノロジーを開発し、貨物輸送に利用しようとしている。

これらの企業はすべて、電動化やパイロットの排除によってコストを下げ、航空貨物輸送を価格競争力のあるものにしようとしている。マッキンゼーの航空コンサルタントのロビン・リーデルによると、リージョナル・エア・カーゴ(地域航空貨物)の市場は現在、50ドルの急ぎの書類や緊急物資の輸送に限られているという。「数時間の時間短縮のために、10倍以上の料金を支払う人はあまりいない」と彼は言う。

しかし、2つの方向でディスラプションを起こせる可能性はあるとリーデルは言う。新たな電動航空機が、本当に安価に運用できるようになれば、過疎地の小さなコミュニティと地域空港との間で現状よりも多くの貨物便が飛ぶようになるかもしれない。また、倉庫や工場の駐車場など、現状の飛行機が着陸できない場所にも着陸できるため、配送ネットワークの再構築につながる可能性もある。

一方、Pykaのようなスタートアップのコスト削減に向けての最大の課題は、機体のメンテナンスに何人が必要になるかということだ。規制当局は現在、1台の無人機につき1人の安全監視員の配置を求めている。しかし、人件費を削減するためには、1人の人間が複数の機体を同時に監視することを当局に認めさせる必要がある。
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編集=上田裕資

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