航空機の「自律飛行テクノロジー」のスタートアップXwingの挑戦

自律飛行できるように改造したセスナ208B Grand Caravanの前に立つSwingのソフトウェアエンジニアAdam Shelly(左)、CEO兼創業者のMarc Piette(中央)、CTOのMaxine Gabriel(Xwing提供)

多くの企業がパイロット無しの飛行が可能で、垂直離着陸が可能な電動の航空機の開発に乗り出している。しかし、これだけの機能を揃えた航空機を製造するのは容易ではない。

そこで、サンフランシスコ本拠の航空機スタートアップ「Xwing(エックスウィング)」は、自律飛行に焦点を絞ることで、他社に先駆けて製品をリリースすることを目指している。同社は、セスナ社製小型輸送機「208B Grand Caravan」の自律飛行を成功させ、2022年までに人家の少ない地域で商用貨物輸送を行う認可をFAA(米連邦航空局)から取得したい考えだ。

Xwingは、Part 135の認可獲得を目的に、テキサス州の小規模な貨物航空会社を買収している。同社は、数カ月以内に貨物輸送を開始し、テクノロジーをテストすると同時に、オペレーションのノウハウを蓄積する予定だ。

Xwingの創業者兼CEOであるMarc Pietteによると、同社は業界で幅広く利用され、FAAにとって馴染みのある航空機を採用し、機能の変更を最小限にとどめたという。「我々は実現困難なことをやろうとしているのではない。FAAは、我々の姿勢を評価してくれている」とPietteは話す。

現在42歳のPietteは、ベルギー出身のソフトウェアエンジニアだ。彼は、自身が設立したビジネスデータ企業「Locu」を、2013年にドメインレジストリ企業のGoDaddyに売却した後、飛行機の操縦レッスンを受講するうちにXwingの事業構想を思いついたという。

彼は、小型航空機の多くが数十年前に開発されたものであることに驚き、自律飛行に大きな可能性を見出した。

Pietteは2016年に自律飛行システムの開発に着手した。彼は、電動エアタクシーを手掛ける企業数社と協議したが、乗客を乗せるサービスは規制や安全面でのハードルが高く、収益化に時間が掛かりすぎると感じた。「これらの企業の多くは、2025年以降の認可取得を目指していた。我々はベンチャー・キャピタルから出資を受けており、もっと短期間で収益化を図る必要があった」とPietteは言う。

Xwingの機体は、レーダーやADS-B、光学カメラ、LiDARなどを搭載し、他の航空機や障害物を自動的に検知・回避することが可能だ。同社のシステムを搭載した航空機は、自律着陸ができるほか、最も効率的な経路を選択したり、飛行中に問題が生じたら対応し、航空管制官と連携することができる。
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編集=上田裕資

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